Research Abstract |
これまでの研究で,芳香族アミンと位置選択的に反応する非対称スピロ脂環式二酸無水物を,スルホ基をもつ親水性の芳香族ジアミンならびに疎水性のアルキル/アルキレン置換芳香族ジアミンと順次反応させることで種々の交互共重合両親媒性ポリイミドをワンポットで合成し,それらが水中で分子集合体を形成することを確認した。また,イミド化率と臨界ミセル濃度との相関が,親水・疎水バランスから予想されるのと逆の傾向を与えることを見出した。さらに,分子集合体がベシクルやミセル,さらには棒状の構造体など多様な形態の分子集合体を与えること,対応するランダム共重合体では集合体を形成せずに一分子的に見せること形成することも明らかにした。 これまでに用いてきたポリイミドはm-クレゾール中の熱イミド化で調整したものであり,イミド化率は70%台に留まっていた。イミド化率が分子集合挙動に影響を与えることを受け,脱水閉環反応の条件を種々検討したところ,トリエチルアミン/無水酢酸で処理した場合に95%前後の高いイミド化率を与えることを見出した。さらに,ポリイミドの分子量効果についても検討を行い,集合体形成能との相関を精査した。一方で,ポリイミドの合成中間体であるポリアミド酸が元来両親媒性のポリマーであることに着目して,ポリアミド酸の水中での挙動を観察した。その結果,ポリマー中のカルボキシル基が十分に解離する量のトリエチルアミン存在下において,分子集合体を形成することが分かった。また,ポリイミドの場合と同様に,側鎖アルキル基の長さに応じて異なるサイズの集合体を与えた。さらに,外部刺激応答性の機能性ポリマーベシクルの開発を意図して,側鎖に光反応性のo-ニトロベンジルエステル部位を導入したポリアミド酸を調製し,水中での分子集合体に光を照射したところ,サイズが劇的に減少することを見出した。
|