2005 Fiscal Year Annual Research Report
表面増強近接場ラマン分光法による高分子ナノ構造の解析
Project/Area Number |
17550115
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
前田 寧 福井大学, 工学部, 教授 (60242484)
|
Keywords | ラマン分光法 / 温度応答性高分子 / ナノゲル粒子 / 近接場光学 / レーザマニュピレーション / ナノテクノロジー |
Research Abstract |
今年度はエーテル系およびアクリレート系温度応答性高分子水溶液の相転移過程を顕微ラマン分光法と密度汎関数理論(DFT)を併用して解析した。まず、顕微レーザラマン分光光度計を用いた空間分解能1μm程度の測定によりpoly[2-(2-ethoxy)ethoxyethyl vinyl ether]などの温度応答性高分子水溶液の相分離を解析し、相分離状態においてポリマーを濃厚相とするドメインが形成され、この内部においてポリマーのメチル基およびメチレン基のラマンバンドが低波数側にシフトしていることを示した。次にDFTを用いて、種々の数の水分子と相互作用させたポリマーモデル分子の振動解析を行い、メチル基およびメチレン基のラマンバンドが水和数の増加に伴って高波数シフトすることを示した。これらのことから相分離状態のドメイン内でのラマンバンドのシフトがポリマーの脱水和に起因することを明らかにした。さらに、有機溶媒(アセトニトリル(AN)、ジメチルスルホキシド(DMSO)アセトン(Act))を添加して測定を行い、相分離状態でANはドメイン内に濃縮されるのに対して、DMSOは排除され、Actはほぼ均一に全体に分布することを示した。DMSOは水分子とANはポリマーと強く相互作用するために、ともにポリマーの脱水和を促進してT_pを低下させ、Actは両者と均等に相互作用することで脱水和の進行を抑制してT_pを上昇させると推定された。 さらに、微粒子をレーザの放射圧で補足して単一粒子のラマンスペクトルを測定するレーザトラッピングラマン分光法について検討した。これは水中の粒子で光が屈折されるとき、光子の持つの運動量保存のために粒子が光の焦点の向きに力を受ける現象を応用したものであり、ブラウン運動する微粒子を定点に留めておくことができる。この状態でレーザ光により励起されるラマン散乱光を測定することで単一粒子のスペクトルを測定することが可能となった。
|
Research Products
(3 results)