2005 Fiscal Year Annual Research Report
主鎖上を成長末端へと移動する金属触媒による重縮合:制御された導電性高分子合成法
Project/Area Number |
17550120
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
横澤 勉 神奈川大学, 工学部, 教授 (80182690)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 明弘 神奈川大学, 工学部, 助手 (50343637)
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Keywords | 連鎖重縮合 / 重縮合 / ポリチオフェン / ポリフェニレン / 導電性高分子 / リビング重合 / 金属触媒 / カップリング反応 |
Research Abstract |
重合によって得られる導電性高分子は分子量および分子量分布がこれまで制御されてなかった。我々は金属触媒が高分子末端へと移動しながら重縮合が連鎖重合で進行して、制御されたポリチオフェンが生成することを最近見出した。本研究ではまったく新しい形式のこの触媒移動型連鎖重縮合の一般性を明らかにし、種々の導電性高分子の分子量と分子量分布を制御することを目的とした。さらに分子量分布の狭い単独重合体およびブロック共重合体の自己組織化に基づく階層的な電気特性も検討する。本年度は1.チオフェンモノマーの側鎖置換基の影響、2.モノマーの芳香環の影響、3.他のカップリング反応、について検討した。 1.については親水性側鎖のメトキシエトキシエトキシメチル基を導入したチオフェンモノマーの重合を検討した。側鎖ヘキシルチオフェンモノマーではNi(dppp)Cl_2を用いると分子量分布の狭いポリチオフェンが触媒量によって分子量制御して得られたが、このモノマーの重合では同様な条件では分子量分布の広いポリチオフェンが生成した。しかしながらNi(dppe)Cl_2を用い、0℃で重合を行うと分子量分布の狭いポリチオフェンが分子量を制御して得られることを見出した。2.については芳香環にヘテロ原子を含まないポリフェニレンの合成をNi触媒を用いて検討した。その結果、Ni(dppp)Cl_2やNi(dppe)Cl_2を用いても分子量分布の狭いポリフェニレンは得られなかったが、塩化リチウムを添加すると分子量分布は狭くなり、分子量はモノマー転化率およびNi触媒の量に比例して増加した。すなわち、チオフェン以外のモノマーでも触媒移動型連鎖重縮合が進行することを明らかにした。3.については同様なポリフェニレンをPd触媒を用いる鈴木カップリング反応で検討した。その結果、触媒移動型の連鎖重縮合が進行することは明らかになったが、触媒の連鎖移動も起こるため生成ポリマーの分子量分布は広かった。
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