2005 Fiscal Year Annual Research Report
キラル分子配向体をインデューサーとする機能増幅型光学素子の開発
Project/Area Number |
17550133
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高藤 誠 熊本大学, 工学部, 助教授 (50332086)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊原 博隆 熊本大学, 工学部, 教授 (10151648)
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Keywords | 自己組織化 / 誘起円偏光二色性 / キラリティー / オルガノゲル / キラル分子配向体 / ホスト-ゲスト化学 |
Research Abstract |
本研究では、機能増幅型光学素子を作製することを目的とし、キラル配向性分子集合体により誘起、増幅される機能をポリマー中に固定化するための研究を行っている。具体的には、グルタミン酸に2本の長鎖アルキル基および機能性部位をアミド結合を介して導入したグルタミド分子を合成し、このグルタミド分子がキラル配向体を形成することにより得られる増幅光学活性のポリマー中への固定化について検討している。自己組織的な配向会合体形成に基づく増幅光学活性は、物理的、熱的に不安定であり、材料化のためには固定化が必要となる。以下にこれまでの研究成果をまとめた。 1)機能性部位としてピレニル基を導入した分子を合成し、有機溶媒中での増幅光学活性について円偏光二色性スペクトルを用いて評価するとともに、電子顕微鏡観察、蛍光スペクトル測定、熱分析を行い、分子の配向状態について評価した。さらにポリマー(ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレンなど)との混合溶液からキャスト法により分子配向体とポリマーとのコンポジットフィルムを作製した。ポリマー添加によるキラル配向構造への影響はほとんどなく、またキャスト後においても増幅光学活性は維持されることを確認した。この増幅光学活性は、熱に対しても安定であることを確認した。 2)機能性部位にカルボン酸を導入した分子から形成されるキラル配向体にアキラルなカチオン性色素を添加することで色素に光学活性を誘起させ、これを上記と同様の方法でキャストし、ポリマーコンポジットフィルムを作製した。色素分子がキラル配向体に静電的に結合することで誘起光学活性が発現し、さらにキャストした後も光学活性が維持されることを確認した。キラル配向性分子とアキラル色素は、コンビナトリアル的に選択できることから、光学活性の強度や波長を容易に制御することができる。アクリフラビン(黄)、コンゴーレッド(赤)、メチレンブルー(青)の色素を用いた誘起光学活性ポリマーフィルムの作製に成功している。 3)キラル配向性分子の無機環状分子や無機表面へ固定化することによる機能性材料の検討も行っており、一定の成果を得ている。 今後、当初の計画に従い、キラル分子配向体により増幅された機能のポリマーへの転写について検討を進める予定である。
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Research Products
(4 results)