2005 Fiscal Year Annual Research Report
培養細胞から産生される一酸化窒素を指標とした環境汚染物質および食品成分の評価
Project/Area Number |
17550146
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamagata Research Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉村 哲彦 (財)山形県産業技術振興機構, 研究開発部, 部長 (70271517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉武 淳 (財)山形県産業技術振興機構, 研究開発部秋田県産業技術総合研究センター, 研究員 (70414349)
葛西 重信 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 産学官連携研究員 (70342730)
末永 智一 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 教授 (70173797)
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Keywords | 一酸化窒素(NO) / 内分泌かく乱物質 / マクロファージ / リポポリサッカライド / 8-ニトログアノシン / シグナル伝達系 |
Research Abstract |
生体は異物の侵入や組織の障害に対する局所的な防御策として炎症反応を利用している。また、主に食品を介して体内に蓄積した内分泌かく乱物質(EDCs)は、個体発生や免疫機能の異常などの影響を与えることが知られている。本研究では、EDCsが免疫機能に与える効果を、マクロファージのリポポリサッカライド(LPS)刺激によって産生される一酸化窒素(NO)産生量を指標として解析した。さらに近年、NO由来のグアニンニトロ化の新しいシグナル機能として注目されている、8-ニトログアノシン(NO_2-Guo.)の産生に着目した解析もあわせて行った。[方法]LPS刺激を施したマウスマクロファージ由来のRAW264細胞に5種類のEDCs(ビスフェノールA、ノニルフェノール、オクチルフェノール、2,4-ジクロロフェノール(DCP)、ペンタクロロフェノール)処理12時間後に培養液中のNO_2^-/NO_3^-濃度と生細胞数を、それぞれHPLC-グリース法とトリパンブルー染色法を用いて測定し単位時間・単位細胞当たりのNO産生量として解析した。また、細胞内のNO_2-Guo.生成は、抗NO_2-Guo.モノクローナル抗体を用いて組織免疫化学的に解析した。[結果]DCP以外の4種類のEDCs処理により、コントロールと比較して有意なNO産生量の低下および弱いNO_2-Guo.染色像が得られた。これに対してDCP処理ではNO産生量やNO_2-Guo.染色像に差は認められなかった。[考察]EDCsは核内受容体のリガンドとして作用し標的遺伝子群の発現制御のみならず、各種の転写制御因子と核内で会合することで、多様なシグナルとクロストークすることが知られている。今回の知見より、EDCsは核内受容体を介した標的遺伝子発現への直接的な影響のみならず、NOやNO_2-Guo.を介して、間接的にシグナル伝達系に影響を与えることが示唆された。
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Research Products
(6 results)