2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17550166
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
野上 隆 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (80029280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 尚行 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (00232306)
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Keywords | 分子磁性 / 遷移金属錯体 / 結晶構造解析 / 希土類イオン錯体 / 単分子磁石 / 磁気転移 / 電荷移動錯体 / 伝導性有機錯体 |
Research Abstract |
(1)単分子磁石、単鎖磁石の開発 直線3核(Dy-Cu-Dy)および有中心5核錯体(Gd_4Cu)錯体を合成し、構造決定、磁性を明らかにした。Dy_2Cu錯体で、単分子磁石特有の磁化曲線のステップが0.5Kで観測された。この現象はゼーマン分裂による、レベル間の交差するところで、トンネル効果が起っていることで説明できた。また、フタロシアニン環の周辺にオクチルチオおよびステアリルチオ基を導入して、液晶性単分子磁石を開発した。有機溶媒に対する溶解性が格段に向上した。ニトロニルニトロキシドラジカルとCo(II)との鎖状錯体は単鎖磁石の性能を示し、磁化反転のためのエネルギー障壁は350Kと、従来知られているCo(II)錯体に比べて、非常に大きいことを見つけた。 (2)1次元フェリ磁性鎖錯体 Gd(III)とCu(II)を含むGd_2Cu_2錯体は、1次元鎖構造を示し、Gd(III)とCu(II)の間の反強磁性的相互作用によるフェリ磁性的挙動を示した。 (3)磁気ヒステリシスの大きいスピンクロスオーバー錯体 配位子部分に長鎖アルキル基を導入したFe(III)錯体は、スピンクロスオーバー現象を示し、中にはヒステリシス幅が100Kにも達するものを見つけた。磁気双安定性を利用したメモリー材料につながる可能性がある。 (4)弱強磁性体の圧力効果 ピリミジン・Fe(II)錯体は弱強磁性体転移を示すが、圧力により弱強磁性体→常磁性体転移を示した。 (5)伝導性単分子磁石 種々のドナー分子の電解結晶法で、支持電解質に4f金属錯アニオンを導入する検討を進めた。得られたイオンラジカル塩には、単分子磁石挙動が見られた。 (6)天然有機化合物由来の電荷移動錯体の開発 天然ルシフェリンに含まれるイミダゾピラジノン骨格に着目し、それらのドナー性とCT錯体形成能を明らかにした。
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Research Products
(15 results)