2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17550166
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
野上 隆 電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (80029280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 尚行 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (00232306)
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Keywords | 分子磁性 / 遷移金属錯体 / 結晶構造解析 / 希土類イオン錯体 / 単分子磁石 / 磁気転移 / 電荷移動錯体 / 電導性有機錯体 |
Research Abstract |
オキシマートを配位子とし、希土類イオンDyと銅を1分子中に含む錯体を合成し、極低温で磁気物性を測定した。その結果、2個のDy同士の磁気モーメントは平行であり、Dyと1個の銅との間に、反強磁性的相互作用が見られた。交流帯磁率の測定から、単分子磁石の挙動を観測した。更に、0.5K〜1.5Kで、パルス磁場による磁化曲線を求めると、単分子磁石特有の磁化のジャンプが見出された。この現象はゼーマンレベル同士のレベルの交差のところで起こるトンネル効果に起因することを、理論的に解明した。これは、3d-4f系の単分子磁石の理論解析の最初のものである。また、ニトロニルニトロキシドラジカルとコバルトを含む1次元錯体で、単鎖磁石を見つけた。X線結晶構造解析により、鎖状ポリマーであることを見出し、交流帯磁率からx''の周波数依存による単鎖磁石の挙動を見つけた。また、極低温での磁化曲線の測定からも、磁化ジャンプを見つけ、単鎖磁石の挙動を確認した。この系は、磁気反転に要するエネルギー障壁の高さが193Kと、単鎖磁石としては比較的高いことを見出した。 これら以外にも、生体発光物質がドナー分子として電荷移動錯体を生じることを見つけたり、有機ラジカルで、同一温度で低スピンと高スピン状態を示す磁気双安定物質の発見、金属イオンを取り込むことにより、分子の構造変化に伴う磁性の制御、希土類イオンを含む伝導性有機錯体の物性、遷移金属錯体の磁性の光制御、キュバン構造をもっ有機分子の両側にコバルトを配位させ、コバルト同士の磁性軌道の直交による分子内強磁性的相互作用の実現、などの研究を行った。これらを含めて、レフリー付き学術雑誌に13報の論文を発表した。
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Research Products
(13 results)