2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17550171
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Research Institution | Kanagawa Academy of Science and Technology |
Principal Investigator |
古林 寛 (財)神奈川科学技術アカデミー, ナノ光磁気デパイスプロジェクト, 研究員 (70392925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一杉 太郎 東京大学, 理学系研究科, 助手 (90372416)
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Keywords | 二酸化チタン / p型半導体 / p-n接合素子 / 発光素子 / 薄膜材料 |
Research Abstract |
1 p-TiO_2作製 ・準備にあたって ・第一原理計算を用い、アナターゼのp型化に相応しい置換元素予測を行った。その結果、イットリウム(Y)をTi位置に置換することで、バンドを変形させることなくFermi準位を価電子帯上部に位置させる得ることが分かった。一方Fe置換では、価電子帯と伝導帯の中間に不純物準位を生成し、純粋なp-TiO_2作製には不向きであることが示唆された。 ・調査の結果、強還元TiO_<2-x>が正のHall係数を示す結果が最近報告されていることが分かった。そこで、この物質のp型特性を再検証すべく、TiO_<2-x>におけるp型発現条件とその起源を明らかにすることを目的に追加した。 ・結果 ・コンビナトリアル手法を用いた結果、アナターゼTi_<1-x>Y_xO_2における固溶限はx〜0.1と見積もられた。酸素分圧10^<-5>torr,基板温度550度下ではY置換と共に抵抗は上昇し、Y置換と共に、酸素欠損による電子の濃度が減少する結果が得られた。しかし、高酸素分圧(5x10^<-4>torr)下で製膜した試料はほぼ絶縁体となった。また、この試料において酸素一気圧800-1000度で熱処理を試みたものの、依然として系は絶縁体のままだった。 ・強い還元TiO_<2-x>に関しては、結晶がアナターゼ/ルチル構造を保持する条件(酸素分圧10^<-7>torr以上)ではn型(負のHall係数)を示す一方、マグネリ相Ti_nO_<2n-1>になる条件(酸素分圧10^<-8>torr以下、又は水素雰囲気下)では再現性良くp型(正のHall係数)を示すことが分かった。また、X線回折及び断面TEMからは、γ-Ti_3O_5の生成を強く示唆する結果が得られた。しかし実際の構造は非常に複雑であり、さらなる考察が必要だと思われる。 2 来年度の主な方針 ・強還元の構造および輸送特性(Hall測定および熱電特性)を深く調べる。また、p-n接合の作製も検討する。 ・第一原理計算を用い、様々な元素(主に3d系)置換によるp型の可能性を追う。また、アニオン置換に関しても検討する。
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