2005 Fiscal Year Annual Research Report
可視光応答型二酸化チタンのin-situESRによる電荷分離特性の評価
Project/Area Number |
17550178
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
駒口 健治 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80291483)
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Keywords | 二酸化チタン / 電子スピン共鳴法 / 可視光応答 |
Research Abstract |
本年度は、可視光応答型二酸化チタンの光誘起電子移動反応について基礎的知見を得るため、水素還元した酸化チタンナノ粒子(アナタース、ルチル、P25)への光照射効果に関するESR研究を以下のように実施した。 (1)TiO_2試料の還元条件(温度、導入水素量など)および結晶型(アナタース、ルチル)と生成する常磁性種(Ti^<3+>)との関係を明らかにした。常磁性種がTi^<3+>(捕捉電子)であることを確認するため、77Kおよび室温で酸素ガス(5Torr〜20Torr)を還元試料に導入し、Ti^<3+>信号の非可逆的消失と表面に吸着したO_2-ラジカルの生成をESR観測した。 (2)77Kで、還元TiO_2(アナタース、ルチル)に可視光を照射すると、Ti^<3+>のESRスペクトルは減衰し、約3分間の照射で完全に消失した。さらに、暗所で照射前の強度に回復することがわかった。この光応答は、波長800nm以下の光を照射しても同様に起こることから、捕捉電子(Ti^<3+>)の伝導帯への光励起と再捕捉をESR観測していると考えられる。 (3)P25では、光照射後、スペクトル強度は照射前の1.3倍に増加した。さらに、アナタースを選択的に還元したP25では、照射後のスペクトル強度は2.5-3倍になることがわかった。光照射の前後においてラジカル量は一定であることから、P25では、光励起した電子の一部がアナタース相からルチル相に移動したと考えられる。 以上の結果を踏まえ、次年度は、アナタース-ルチル相間の電子移動について、粒子サイズ効果および結晶相の混合効果を調べ、さらにスラリー系や実際に色素を吸着した系での電子移動反応について検討を進めたい。
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