2005 Fiscal Year Annual Research Report
トンネル効果による高分子-導電性ナノ粒子複合体の機能性発現
Project/Area Number |
17550192
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
賓 月珍 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助手 (90343269)
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Keywords | PTC効果 / スイッチ材料 / トンネル効果 / 超薄膜 / ゲル-結晶化法 / キャパシター / インピダンス / 電気伝導度 |
Research Abstract |
ポリエチレンなど結晶性高分子とカーボンブラックやカーボンファイバーなどの導電性粒子をブレンドすることにより、極めて狭い温度領域で電気抵抗値が上昇するいわゆるPTC効果は以前からも発見された。本研究では、トンネル効果によってPTC現象を解釈し、ナノ粒子と高分子の複合材料の電気性質を解明するとともに、高機能を備えた新素材の開発を目的とした。 平成17年度には以下の試みにより、研究を進んでいる:1)ゲル-結晶化法を用いて作成した超高分子量ポリエチレンフィルムを横、縦二軸にそれぞれ600%まで延伸できた。絶縁体であるポリエチレンフィルムを二軸方向に超延伸することにより、超薄膜を作成すると、電気伝導率は半導体領域(約10^<-6>S/cm)に達することが確認した。トンネル理論により、さらに延伸して厚みを薄くすると電気伝導度はさらに上昇することが考えられる。しかし、電気伝導度の膜厚の関数を求めるため、超薄膜の厚さの測定が必要だが、試料の透明度が足らない、しわになり易いため、分光法での測定はまだ成功してない。2)異なった高分子マトリックス(ポリイミド、ポリエチレン、ポリビニルアルコール)にアスペクト比の異なったナノ粒子(ニッケル、カーボンナノファイバー、カーボンナノチューブ)を混入することにより複合フィルムを作成した。形成した材料の構造、フィラーの分散性、延伸性と形成した試料の電気伝導度との関連について検討した。材料の電気伝導度が導電性フィラーのアスペクト、やわらかさ、絡み合いに大きく依存していることが分かった。3)高いPTC強度を示しているポリエチレンとカーボンファイバーの複合材料について、直流下のPTC効果を検討するとともに、インピダンス計を用いて、粒子とマトリックスの界面により形成したキャパシターの分析から、PTC効果の解明をしている。研究結果より、交流下のスイッチ効果を発見した。さらに、高温でフィラーの移動とマトリックスの溶融特性の関連について検討している。
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Research Products
(4 results)