2006 Fiscal Year Annual Research Report
トンネル効果による高分子-導電性ナノ粒子複合体の機能性発現
Project/Area Number |
17550192
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
賓 月珍 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 助手 (90343269)
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Keywords | PTC効果 / スイッチ材料 / トンネル効果 / ゲルー結晶化法 / 電気伝導度 / インピダンス |
Research Abstract |
結晶性高分子と導電性粒子をブレンドすることにより、い温度領域で電気抵抗値が上昇するいわゆるPTC効果は以前からも発見された。まだ、カーボンナノチューブと高分子の複合材料の殆どはPTC効果がない。本研究では、トンネル効果によってPTC現象を解釈し、導電性ナノ粒子と高分子の複合材料の電気性質を解明するとともに、高機能を備えた新素材の開発を目的とした。 平成18年度には以下の研究結果が得られた。 (1)超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)と低分子量ポリエチレン(LMWPE)の混合物とカーボンファイバー(CF)との複合材料を直流と交流電場下の電気伝導度の温度と周波数の依存性を検討した。ゲルー結晶化法で作成したUHMWPEとLMWPEの混合比は9/1でCFの含有量が18〜26vol%のフィルム試料は、10Vの電圧をかけて、温度が110℃付近で電気抵抗率10^9S/cmの上昇が見られ、120℃から180℃の温度範囲内は電気抵抗が安定であって、電気抵抗が低下するというNTC現象がないことが判明した。その一方、1Vの電圧、100〜10^7Hzの周波数をかけた時、110℃付近でPTC現象が観察できたが、さらに温度が高くなると、NTC現象が現れた。直流と交流下の電気伝導特性の差はカーボンファイバーの遷移、UHMWPEとLMWPEの溶融特性、界面緩和が周波数に大きく依存することがわかった。 (2)CFの含有量が23.5vol%を一定して、UHWPEとLMWPEの混合比が1/0から1/15を変化したところ、複合材料は絶縁体から導電体まで変化することがわかった。この特性は従来のパーコレーション理論と異なることである。SEMでの観察結果から、CFの表面に覆われたポリエチレンの膜の厚さがUHMWPEとLMWPEの混合比によって変わることがわかった。この厚さの影響でカーボンファイバーのトンネル伝道が変化することによって、複合材料の電気伝導度に大きく変わる。従って、複合体の電気物性がマトリックスの成分比、加工条件によって制御することができると考えられる。 (3)それ以外、UHMWPEとEthylene-Methyl Methacrylate共重合体とカーボンナノチューブの複合ゲルフィルムは温度の上昇に伴い、電気伝導度の増加が見られた。この現象は一般なポリマーとカーボン粒子の複合体の電気特性がまったく異なった傾向である。
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Research Products
(4 results)