2005 Fiscal Year Annual Research Report
積層InAs量子ドット間の波動関数カップリングの制御と長波長帯レーザへの応用
Project/Area Number |
17560005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斎藤 敏夫 東京大学, 国際・産学共同研究センター, 助手 (90170513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 泰彦 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (30134638)
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Keywords | 量子ドット / InAs / GaAs / 格子歪 / VFF法 / 圧電効果 / 電子構造 |
Research Abstract |
1.積層InAs量子ドット構造中の歪み分布の計算 InAs/GaAs量子ドット構造中の格子歪をValence-Force-Field(VFF)法を用いて計算するプログラムを完成した。VFF法では、InAsとGaAs中のボンド長とボンド角の関数として歪みエネルギーが計算出来るので、量子ドットの大きさの1原子層程度の揺らぎや欠陥の効果を取り入れることが可能である。本研究では、ボンド伸縮定数αとボンド変角定数βをパラメータとするKeating型のVFFポテンシャル[Phys.Rev.145,637(1966)]を用いた。このVFFポテンシャルに基づいてInAs/GaAs量子ドット構造の歪みエネルギーの緩和を行い、歪みエネルギーが極小となる原子位置を計算した。解析領域の大きさは、475Å×475Å×475Å(全原子数4741632個)で、計算時間は約10時間(日立SR11000で1ノード8プロセッサ並列演算時)である。このVFF法による計算プログラムを用いて、まず単一InAs/GaAs量子ドットの歪みエネルギーの計算を行い、妥当な静水圧歪みと2軸性歪みの分布を得た。さらに、高さ17ÅのInAsドットを9層積層したコラム型ドットの歪み分布の計算を行った。この歪み分布に基づいて電子構造を計算し、コラム型ドットの発光の偏光依存性を求めることが可能である。また、本計算プログラムを用いて、不均一なIn組成の分布を有するInGaAs/GaAs量子ドットの歪み分布を計算することも可能で、In組成の分布が光学的性質に及ぼす影響を調べることが可能である。 2.ピエゾ(圧電)効果による分極ポテンシャルの計算 VFF法で計算した歪み分布に基づいて、ピエゾ効果による分極・分極電荷・ポテンシャルを順次計算するプログラムを完成した。 3.多バンドk・p法による電子構造の理論計算 8バンドのk・p法を用いて、積層InAs/GaAs量子ドットの電子構造を計算するプログラムを作成し、コラム型積層ドットの電子構造の計算に着手した。今後、エネルギー準位、波動関数、遷移の振動子強度などの積層数依存性を計算することが可能となっている。
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Research Products
(2 results)