2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造をもつ有機基板を用いたタンパク質結晶の配向制御
Project/Area Number |
17560016
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
中田 俊隆 立命館大学, 理工学部, 教授 (20237308)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本同 宏成 立命館大学, 理工学部, 講師 (10368003)
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Keywords | 結晶成長 / ナノバイオ / 表面・界面物性 / 蛋白質 |
Research Abstract |
有機ナノ構造作製の第一段階として、超高真空装置中での加熱処理およびNH_4Fでの処理により、Si基板(傾斜角度が0.5°〜3°)上にステップが均等な間隔でそろった水素終端表面をそれぞれ作製した。同時にその大気中・真空中での安定性についても調査を行い、特に真空ポンプからの有機汚染物がはなはだしい悪影響を及ぼすことを確認した。現在この基板並びに原子レベルで平坦なマイカ・グラファイトにおいて、ラングミュアープロジット法を用いた均一な脂肪酸薄膜作成のための条件検索を行っている。さらに、新たにベシクルフュージョン法を用いた脂肪酸薄膜作成やGaAs基板についても検討を行っている。 また、既に当研究グループにおいて実績の有る真空蒸着法を用いて、マイカ・グラファイト基板上に作成した脂肪酸薄膜の分子長を調整することにより、従来困難とされてきた蛋白質結晶のエピタキシーを確認することができた。さらに、このとき脂肪酸・タンパク質分子のみならず、緩衝液として用いている酢酸がタンパク結晶の配向に重要な役割を果たすことが我々の過去の研究において明らかとなっているが、そのとき、疎水部分であるメチル基ではなく、カルボキシル基が重要な役割を果たすことを新たに明らかとした。 また、同一の基板を用いることにより、生体結晶の一種であり、タンパク質との複合材料として生体内で欠かすことのできない炭酸カルシウム結晶の多形制御が可能であることもまた明らかとした。 以上の結果については、日本物理学会、結晶成長学会及び国際会議(The 9th International Symposium on Biomineralization(GRAN HOTEL PUCON,Pucon,Chile),2005年12月)などにおいて発表済みならびに発表予定であり、また、3報の論文を本年4月までに投稿予定である。
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