Research Abstract |
Si-ULSIにおけるCu配線は,さらなる微細化を続ける中で,ゲートの信号速度よりも配線部分の信号遅延が顕在化してきた。その対策として,層間絶縁膜を従来のSiO2からより低誘電率材料であるlow-k材料に置き換えることと,Cu配線のバリヤが高抵抗であることからより極薄化を図ることで,信号遅延の要因である配線抵抗と配線の寄生容量であるRC時定数を低減することが求められている。しかし,単純にバリヤ膜を極薄化するとCu配線の拡散を抑制できず,ULSI全体の性能の劣化が生じたり,あるいは異種材料が接する界面ではintermixingによる層が得られるが,その膜厚がバリヤ膜と同程度のオーダーである数〜10nm程度となることが新たな問題となってきた。 そこで本研究では,数nm程度の極薄ナノバリヤを形成するにあたり,その界面で生起するintermixing layerの形成を抑制し,かつ極薄化しても優れたバリヤ特性が得られるのかをバリヤ材料の固有の性質(反応性,拡散性,化学的安定性,構造的安定性等)を考慮して検討を行った。その結果,VNあるいはZrN等の低抵抗な材料を用い,5〜10nm程度の極薄膜とした場合のCu/low-k材料間のバリヤ特性を検討し,500℃までの熱処理によっても界面でintermixing layer等も見られない理想的な界面を形成することが可能であり,優れたバリヤ特性を示すことを実証した。従来,バリヤとして用いられているTa系のバリヤ材料は,その界面に数〜10nm程度のintermixing layerが存在することが知られており,そのため10nm程度以下までバリヤを薄くすることは困難である一方,次世代65nmノードでは7nm,次の45nmノードでは5nmがバリヤの目標膜厚である。その中で本研究では,ナノクリスタルバリヤ膜とすることで,界面にintermixing layerの存在しない界面を実現することが可能とであり,それらの膜の抵抗率も,従来のバリヤの1/4程度であることから,RC時定数の低減にも十分に寄与できる。現在,界面制御のメカニズムの検討を行うと同時に,バリヤ膜の新たな形成手法についても検討を行っている。
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