2005 Fiscal Year Annual Research Report
小角入射電子線励起X線発光分光による酸化物薄膜の深さ方向分析技術の開発
Project/Area Number |
17560020
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
柏倉 隆之 宇都宮大学, 工学部, 講師 (90261817)
|
Keywords | X線 / 電子線 / 酸化物 / ナノメートル / 遷移金属 / 化学結合 / 状態分析 |
Research Abstract |
1 小角入射電子線励起X線発光分光(Grazing incidence electron-induced X-ray emission spectroscopy : GIEXES)装置を改良した。O Kα線(525 eV)を高分解能で測定するために,分光結晶RbAPを購入し,ブラッグ角が大きい配置がとれるよう結晶直進型分光器の機械システムを新たに製作した。X線検出器についても,これをX線の分散方向に可動とする機構を製作した。この結果,X線スペクトルを迅速に測定できるようになった。 2 GIEXESによりFe Lα,Lβスペクトルを測定することで,鉄箔の表面酸化状態を分析した。入射電子線エネルギーを変化させることで,分析深さを変え,深さ方向分析を行った。表面層の下に埋もれた鉄金属からの信号強度に対する表面酸化物層からの信号強度の比を,Lα線に対するLβ線の強度比をもとに算出した。これらの値を,モンテカルロシミュレーションにより計算した値と比較することで表面酸化物層の厚さを見積もった。この研究は,遷移金属表面に形成された数nmから数十nmの厚さの酸化物層の厚さを見積もるために,GIEXESが有用であることを示した。 3 スパッタ法により作製されたMg-B超伝導薄膜の表面酸化状態をXPSにより分析した。イオンエッチングを併用したXPS測定により,組成と化学結合状態について深さ方向分析を行った。イオンエッチング処理前では,酸素と炭素が相当に吸着しているものの,マグネシウムとホウ素の組成比はおよそ1:2であった。450分イオンエッチングを行った後では,マグネシウムとホウ素はおよそ1:1の割合で存在し,かつ化学的に結合していることが明らかになった。来年度はこのMg-B超伝導薄膜の表面酸化状態をGIEXESにより非破壊で分析する予定である。
|
Research Products
(1 results)