2005 Fiscal Year Annual Research Report
薄膜酸素含有量評価法の確立と強相関系酸化物への適用
Project/Area Number |
17560022
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
坂井 穣 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (60262599)
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Keywords | 酸化物薄膜 / 酸素不定比性 / 非ラザフォード弾性共鳴散乱法 / 電気磁気特性 / 二重交換系Mn酸化物 / 導電性Ru酸化物 |
Research Abstract |
非ラザフォード共鳴散乱法(non-Rutherford elastic resonance scattering=NRERS)により酸化物薄膜の酸素含有量を評価し、物性との比較により物理的知見を得るという研究目的のもと、パーソナルコンピュータを導入し、NRERS測定データを元に薄膜酸素量を算出するプログラムを作成した。研究対象として、複数の条件で製膜もしくは還元処理したペロブスカイト型Mn酸化物La_<1-x>Sr_xMnO_<3-y>(LSMO)およびペロブスカイト型Ru酸化物SrRuO_<3-y>(SRO)の薄膜試料を準備し、それぞれ酸素含有量を実験的に評価するとともに電気磁気特性との比較を行なった。 1.LSMO パルスレーザー堆積(PLD)法により様々な酸素圧力下でLSMO薄膜を作製した。NRERSにより評価された薄膜の酸素含有量は、酸素圧に対して単調増加せずにU字形の依存性を示した。酸素雰囲気中でのPLD製膜において酸素取り込み効率の悪い酸素圧が存在しうることが初めて明らかになった。良好なエピタキシャル結晶成長を進行させる条件と酸素取り込み効率の良い条件が類似していることもわかった。SrTiO_3基板上に堆積させたLSMO膜においてはキュリー温度が酸素含有量にほぼ対応しており、この振舞いは酸素欠損によるMn^<4+>存在量の変化で定性的に説明できる。(論文印刷中) 2.SRO 化学気相堆積法により堆積した定組成SRO薄膜を、様々な温度でArガス中アニール処理した試料を準備した。薄膜がペロブスカイト構造を保持するようなアニール温度領域においては、NRERSで評価した各試料の酸素含有量はアニール温度上昇に伴って減少し、それに対応して電気特性も金属的から徐々に絶縁体的挙動へと移行した。アニール条件ひいては酸素含有量に対応して電気特性が変化する様子が初めて定量的に示された。(論文投稿準備中)
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