2006 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノ構造系および軽元素系材料における水素吸蔵状態の微視的研究
Project/Area Number |
17560042
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
山口 益弘 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 教授 (10018046)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 勲 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 助教授 (40242383)
櫻井 吉晴 財団法人高輝度光科学研究センター, 主幹研究員 (90205815)
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Keywords | コンプトン散乱 / 水素吸蔵材料 / カーボンナノチューブ / 活性炭 / グラファイトファイバー |
Research Abstract |
本研究課題は、カーボンなどの軽い元素を主体とする水素吸蔵材料において吸蔵(吸収または吸着)された水素の微視的な電子状態を明らかにすることによして新規水素吸蔵材料の開発に資することを目的としている。活性炭や単層カーボンナノチューブでは水素は水素分子として吸着されるとみなされている。しかしながら、必ずしもこのことを微視的に検証したもの研究はなかった。コンプトン散乱法はガスの雰囲気中でも電子構造が微視的に観測できる唯一の方法である。本研究では新たに開発したその場コンプトン散乱測定用チャンバーを用いて、液体窒素温度下で作製した水素吸着活性炭(CH_<0.17>,CH_<0.10>)ならびに単層カーボンナノチューブ(CH_<0.06>,CH_<0.03>)のコンプトンスペクトルを測定し、水素の状態を直接的に反映する差分コンプトンスペクトル(CH_x-C)を導いた。一方で理論計算で求めた水素分子コンプトンスペクトルと比較するした結果、水素は水素分子として物理吸着されていること実験的に初めて確認した。また、その場観測を行うことにより水素吸脱蔵サイクルによる吸蔵状態の変化も追及できることも示した。本研究は水素ガス雰囲気下で多量の水素を吸蔵した材料における水素の吸蔵状態を調べる方法を確立したものであり、今後は各種の水素吸蔵材料の開発に有効な手段を提供するものである。
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