2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17560043
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
水島 俊雄 富山大学, 理工学研究部(理学), 助教授 (50135000)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 義和 富山大学, 理工学研究部(理学), 教授 (20143836)
桑井 智彦 富山大学, 理工学研究部(理学), 助教授 (10251878)
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Keywords | 熱電素子 / 低温 / ペルチエ効果 / 熱電能 / 強相関物質 |
Research Abstract |
昨年度は低温で大きな熱電能を示す物質を基礎に2つの熱電素子CePd2A13-YbA13、CePd2A13-YbCu4.5AgO.5の試作を行った。この2つの素子の液体窒素温度77Kにおける熱電性能指数は10^<-4>程度であることが分かった。 18年度は更に熱電能の大きな物質探索を行った。その中で正に大きな熱電能を示すCeNi9Si4を発見したので、この物質とYbCu4.5Ag0.5を組み合わせた素子の試作を行った。CeNi9Si4は30Kで95μV/K、77K近辺で80μV/Kという大きな熱電能を示す。またYbCu4.5Ag0.5は本来アーク炉では簡単に作成しにくい物質と報告されているが、我々は放電時の電流コントロールの調整をうまく行いアーク炉での作成に成功した。試作した素子を用い77Kで冷却効果と性能指数の評価を行った。その結果ペルチェ係数4.57mV、冷却効果0.05K、性能指数ZTは1.26×10^<-3>が得られた。この性能指数は昨年度試作した素子に比較し1桁も大きい。これは大きな進歩である。 ここで素子に使用している物質は2つとも金属であるため、熱伝導が大きい。熱電素子の性能を決める要因として熱電能が大きなことは前にも述べているが、それ以外に電気抵抗と熱伝導が小さいことが必要である。低温では金属は電気抵抗が小さい。しかし熱伝導も小さくなっているとは言え、金属であるがゆえにまだ素子に応用できるくらいに十分に小さいとは言えない。従って素子の性能を増加させるために熱伝導を小さくする必要がある。そこで我々はこの2つの物質を粉末にすることを思いついた。粉末にすると電気抵抗は逆に大きくなり、素子として不利となるが、熱伝導が小さくなることと電気抵抗が大きくなることの兼ね合いで、性能指数を大きくできると考えた。 試みに2物質を適当な粉末にし、真空ガラスに入れペレットを作成した。そのペレットを素子としてペルチェ効果を測定した。その結果性能指数は77Kで1.32×10^<-3>と評価された。この値は金属塊とほとんど変わりがないものである。しかし、粉末の粒度の大きさ、ペレットを作成するときの圧力の大きさなどを変えることによってまだ性能指数を上げる可能性はある。
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Research Products
(6 results)