2005 Fiscal Year Annual Research Report
半導体ナノ結晶を用いた新しい熱ルミネセンス線量計材料の開発
Project/Area Number |
17560048
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
金田 昭久 宇部工業高等専門学校, 一般科, 教授 (50110226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 正毅 山口大学, 工学部・電気電子工学科, 教授 (80107771)
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Keywords | 半導体 / ナノ結晶 / 熱ルミネセンス / 放射線計測 |
Research Abstract |
半導体微粒子分散ガラス(半導体ナノ結晶を含むガラス)にX線を照射すると熱ルミネセンスが観測される。熱ルミネセンスの機構は次のように考えられる。照射中に半導体中で生成した電子がガラス中に飛び出し、ガラス中に捕獲される。加熱すると捕獲中心から離脱して半導体中で再結合し、光を出す。熱ルミネセンス・スペクトルと光ルミネセンス・スペクトルが類似していることは、この機構を支持するものである。この機構から考えて、ガラス組成の違いによって、熱ルミネセンス特性が異なる。そこで、ガラス組成の異なる試料の線量依存性とX線エネルギー依存性を調べた。 入手容易性の観点から、試料として市販の色ガラスフィルタ旭Y-44とホーヤY-44を用いた。四つのメーカー(メーカーによってガラス組成が異なる)の16種類のフィルタの中では、旭Y-44の熱ルミネセンス強度が最も強く、ホーヤY-44がその次に強い。ホーヤY-44については、製造時期の異なる試料(ガラス組成が異なる)についても調べた。 線量依存性が直線になる範囲は、旭Y-44が10Gy以下、ホーヤY-44が40Gy以下であった。X線エネルギー依存性については、X線の実効エネルギーが33keV以上では、熱ルミネセンス強度はほぼ一定であるが、33keV以下では、エネルギーが低くなると熱ルミネセンス強度が低下した。ホーヤY-44のほうが旭Y-44よりもエネルギー依存性が大きい。これは、ガラス組成の違いによる実効原子番号の違い(ホーヤY-44のほうが大きい)に起因すると考えられる。ホーヤの試料で、ガラス組成が異なるものについては、両試料間で、熱ルミネセンス特性の違いは観測されなかった。 上記の内容は、2005年秋と2006年春の応用物理学会講演会で発表した。
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