2006 Fiscal Year Annual Research Report
半導体ナノ結晶を用いた新しい熱ルミネセンス線量計材料の開発
Project/Area Number |
17560048
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Research Institution | INSTITUTE OF NATIONAL COLLEGES OF TECHNOLOGY, JAPAN UBE NATIONAL COLLEGE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
金田 昭久 宇部工業高等専門学校, 一般科, 教授 (50110226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三好 正毅 山口大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (80107771)
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Keywords | 半導体 / ナノ結晶 / 熱ルミネセンス / 放射線計測 |
Research Abstract |
熱ルミネセンスは希土類元素を入れた蛍光体で観測され、放射線線量計に用いられている。熱ルミネセンスは、光やX線を照射した半導体微粒子分散ガラス(半導体ナノ結晶を含むガラス)においても観測される。その機構は次のように考えられる。半導体微粒子分散ガラス中の価電子帯の電子が伝導帯に励起され、電子はガラス中に飛び出し、ガラス中に捕獲される。ガラスを加熱すると、電子は捕獲中心から離脱して半導体中で再結合し、光を放出する。 熱ルミネセンス強度は、X線のエネルギーに依存する。また、熱ルミネセンス強度は、照射後、測定までの期間が長くなると低下するので、熱ルミネッセンス強度の熱安定性も調べた。これらは、線量計材料として重要な特性である。 主に調べた試料は、市販の色ガラスフィルター旭Y-44である。この試料は、各メーカーのフィルターの中で熱ルミネセンス強度が最も大きい。 熱ルミネセンス強度のX線エネルギー依存性を、エネルギー依存性がないとされているアラニン線量計の依存性と比較した、10keV付近では差が観測されたが、33keV以上では、両者のエネルギー依存性はほぼ等しくなった。 熱ルミネセンス強度の熱安定性(アニール温度依存性)を調べた、結果を、熱アニールと熱フェーディングの関係の既知の結果と比較することにより、熱ルミネセンス強度は、2か月の保管で1割程度低下することを推測した。 半導体微粒子分散ガラスを線量計材料として用いる際に、上記のエネルギー依存性と熱安定性は、実用上問題ないと考えられる。 得られた研究成果は、2005年秋、2006年春と秋、2007年春に開催された応用物理学会学術講演会で発表した。 近日中に、学術雑誌に論文を投稿する予定である。
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