2007 Fiscal Year Annual Research Report
密着性に優れるイオンビーム援用超硬質窒化物薄膜の作製と分子動力学評価
Project/Area Number |
17560078
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
内田 仁 University of Hyogo, 大学院・工学研究科, 教授 (30047633)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 正人 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (60291960)
花木 聡 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20336829)
|
Keywords | 機械材料 / イオンビーム / 長寿命化 / 分子動力学 / 解析・評価 |
Research Abstract |
最終年度の平成19年度では,cBNの最適膜条件の検討およびBN薄膜に生じる内部応力の測定を行った.さらに,分子動力学によるシミュレーションを実施し,内部応力の発生機構を検討した. 先ず,第一原理分子動力学解析コードVASPを用いたBN結晶構造の電子密度計算およびAlbeポテンシャルを用いたBN結晶構造の緩和計算を行った結果, 1)BN結晶構造の結合状態には角度依存性があり,経験的多体ポテンシャルであるAlbeポテンシャルによりBNの結晶構造を忠実に再現できることが分かった. 続いてhBNとrBNをターゲットとして加速したN原子を照射するシミュレーションを行った結果、以下のことが分かった. 2)照射されたN原子の衝撃により,ターゲット内のsp^2結合がsp^3-bridgeやsp^3-protrusionを形成する様子が確認できた.これらを連結することでcBNの生成へ繋がるのではないかと考えられる. 3)高加速電圧ではsp^3結合を形成し易いが,同時にsp^3結合を破壊する様子が確認できた.このことより,低加速電圧の方がcBNを生成し易いものと考えられる. 最後に,定圧分子動力学法であるParrinello-Rahmanを用いた緩和計算により,BN薄膜中に生じる内部応力を調査し,その発生機構について検討を行った結果,以下のことが分かった. 4)hBNとrBNをターゲットに[1100]方向からN原子が照射された場合に生じる結晶構造は,体積膨張することが確認できた.これは層間に侵入するN原子がsp^3結合をすることにより生じるものと考えられる.また,この体積膨張は基板による拘束を考慮すると圧縮応力を生じるものと考えられる. 5)応力解析と実験結果との比較により,sp^3結合が増加することで圧縮応力が増加する傾向が一致した.このことから,BN薄膜に生じる内部応力の発生の要因としてsp^3結合からsp^3結合へ変化する際の体積変化が考えられる.
|
Research Products
(4 results)