2006 Fiscal Year Annual Research Report
アモルファス合金の疲労き裂進展機構および変形誘起結晶化の解明
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17560083
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
中曽根 祐司 東京理科大学, 工学部機械工学科, 教授 (10266918)
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Keywords | アモルファス / 金属ガラス / 結晶化 / X線回折 / 疲労 / き裂の進展 / ストライエーション / き裂閉口 |
Research Abstract |
アモルファス合金は、その機械的特性、特に疲労特性は十分に明らかにされていない。そこで、本研究では、Zr基バルクアモルファス合金のき裂進展挙動を調べるとともに、き裂近傍や破面上の組織のX線回折解析を行い、強変形部における組織変化を調べることとした。供試材としては、金属鋳造法および高圧射出成形法で作製したYKK社製Zr基バルクアモルファス合金Zr_<55>Al_<10>Cu_5Ni_<30>を用いた。室温(297K)・大気中において、繰返し荷重速度5Hz、応力比R=σ_<min>/σ_<max>=O.05、0.1、0.15、O.2、0.3の5段階に変化させて荷重制御の下で疲労き裂進展試験を実施した。試験中、適当な繰返し数間隔で試験機を停止させ、プラスチック・レプリカ法によりき裂進展挙動の観察および、き裂長の変化の計測を行った。また、き裂近傍にひずみゲージを貼り、き裂閉口現象を測定した。 その結果、き裂がランダムに配列した原子集団の中の最弱部を選択しつつ進展するため、分岐、屈曲、停留を繰返し、試験片表面と内部で進展経路が異なる複雑なき裂進展挙動を示した。このため、き裂進展速度da/dNと応力拡大係数幅ΔKの関係、log(da/dN)-log(ΔK)線図は、破壊力学の分野でよく知られた単調に増加する逆S字型曲線で表されるのではなく、試験片ごとに異なるジグザグ状の曲線を示した。しかし、大局的には、log(da/dN)-log(ΔK)関係は、今回試験したR値の範囲内では、R値に依存せずに、比較的狭い幅の右上がりの帯状領域内にプロットされることが分かった。また、き裂開閉口現象は応力比R≦0.15で観察されたが、R≧0.2では観察されなかった。さらに、破面解析から、切欠底や介在物近傍等の強変形を受けた領域では、原子がランダムに配列しているアモルファス合金であるにもかかわらず、ストライエーション状模様が観察された。このストライエーション状模様が観察された場所では、X線回折測定より、正方晶Zr_2Cuとなっていることが判明した。
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Research Products
(6 results)