Research Abstract |
研究題目:多軸鍛造による難燃性マグネシウム合金の結晶粒微細化と機械的特性 製品の軽量化,安全性の向上の観点から,難燃化マグネシウム合金が注目されているが,問題点として,難燃性Mg合金の粒界近傍のCa系晶出物残存による機械的性質の低減が挙げられる.本研究では難燃性Mg合金において最も効率よく結晶粒微細化がはかれ,機械的特性の向上が期待できる多軸鍛造法に注目した.多軸鍛造によって,難燃化マグネシウム合金におけるCaの均一分散,結晶方位ランダム化,結晶粒の微細均一化を達成し,機械的性質の向上を目的とした. 実験は,AZ61,AZCa611,AZCa612鋳造材から高さ10×幅10×厚10mmの直方体を採取し,均質化処理を施してから多軸鍛造(金型で直方体の4面を拘束し,1パス毎に90°ずつ回転させながら圧縮)を行った.試験温度,パス当りの圧下率はCaの分散,結晶粒均一微細化効果を狙い,それぞれ473K,10%/passとした。試験装置は50t万能試験機,加熱炉,デジタル変位測定器を用いた.鍛造後,室温圧縮試験,組織観察,X線回折測定などにより性質を分析した. その結果,難燃性Mg合金の多軸鍛造において次の知見を得た.1)Ca-2%入りMg合金においてMg2Ca,Al2Ca,Mg固溶体による層状晶出物が粒界に残存する.2)圧下率10%,温度473Kで多軸鍛造することで内部ボイドが防がれ,Ca系晶出物が破壊・分散する.3)多軸鍛造によりランダム方位を保ちながら結晶粒を10μmまで微細化できる(相当ひずみ0.6).その効果はAZCa612において(層状組織が破壊・分散されやすいため)著しく現れる.4)多軸鍛造によりCa系晶出物が均一分散し,結晶粒の粗大化を抑制する.それにより結晶粒の均一微細化が図れ,圧縮破断強さ,伸びが増加する.
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