2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17560126
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡本 紀明 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (40286696)
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Keywords | 対人安全 / 知能構造 / 医用・福祉用ロボット / スキン構造 / 壁面座屈 / 衝突安全 / 配膳車 / 電動車椅子 |
Research Abstract |
1.遠隔超音波画像診断用ロボットの触診安全アームの構築 近年、高齢化社会に伴って、遠隔医療が社会的な関心を集めている。遠隔医療システムは地域によって偏在している医療施設をネットワークで結ぶことにより医療の地域格差を是正し、また、患者の通院の負担をも軽減するなどに有効な手段として、実用化が期待されている。中でも遠隔超音波画像診断ロポットシステムは現在もっとも実用化が有望視されているものの一つである。しかし、遠隔診断システムはマスタ・スレーブ方式であるため、診断アームの暴走などに対する安全方策が最も重要な研究課題の一つとなっている。そこで、昨年度は本質安全を実現するため過大荷重に対しては触診アーム自体が局部崩壊して大きく変形し、触診力を安全荷重以下に保持する方式の基礎研究を行ってきた。それを踏まえて、本年度は実用アーム構築のためのフィージビリティ・スタディを行い次の結果を得た。 (1)遠隔超音波画像診断ロボットの安全触診アームに関するコンセプトを提案した. (2)スキン構造(アルミ厚さ0.1mm)とトリガーの組み合わせを利用することで安全触診アームの原型を得た. (3)トリガー半径,補強形態,板厚が荷重-変位曲線に与える影響を明らかにした. 2.病院・福祉施設用適温配膳車の衝突安全システムの構築 最近出回っている大形適温配膳車や高齢者・身障者用の電動車椅子は、低速であるが人ごみの中を移動するため、対人事故が問題になってきている。そこで、本研究では、人との衝突を緩衝器で検知しブレーキを作動させて、移動体の運動エネルギーをブレーキと緩衝器で完全に吸収する。その間の衝突力は、人の痛覚耐性値と転倒力以下に抑える安全システムの構築を目指している。昨年度試作した実験機と3連円筒型緩衝器を用いて、次の結果を得た。 (1)壁とモービル機器の間に人が挟まれる場合を想定した挟圧実験の結果では,車速2km/h、車重1.5kNの実験機を痛覚耐性値100N以下で停止させることが可能である. (2)今回は衝突回数68回の繰返し挟圧実験を行ったが,緩衝器には損傷がなく復元し、安全システムも正常に機能し信頼性を確認した. (3)子供を模擬したダミー人形を製作し実験機との衝突模擬実験を行い,転倒条件を明らかにした。転倒条件は、衝突速度には関係なく、履物によって異なり、摩擦係数μが0.43の靴では衝突力が103N、μが0.23のスリッパでは79N以下では転倒しない。
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