2005 Fiscal Year Annual Research Report
微小粒子が気体中を落下するときに乱流構造が粒子運動へ及ぼす影響に関する実験的研究
Project/Area Number |
17560144
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
牛島 達夫 名古屋工業大学, 工学研究科, 助手 (50314076)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼頭 修己 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (10093022)
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Keywords | 流体力学 / 乱流 / 混相流 |
Research Abstract |
本研究の目的は,微小粒子の落下運動へ及ぼす乱流の影響について実験的に解明することである.静止流体中で粒子は終端速度で落下するが,乱流中では平均速度が零であっても,その中を落下していく粒子の平均落下速度が終端速度に比べて,どうなるのか実は知られていない.このことは,花粉や黄砂などの大気への拡散や,雨雲の生成過程などを予測する上で非常に重要である.本研究での目的を達成するために,平均速度が零で乱流変動速度を広範囲にわたって設定できる乱流発生装置を製作し,この装置の中に粒子を落下させ,粒子の速度を高速度ビデオにより測定した.粒子は節によって90〜100μmに分級したガラス粒子(比重2.51)を用いた.粒子落下装置については,粒子落下量が非常に小さいもの(毎秒約100個)を設計製作した.汎用のホッパーのような装置では,粒子落下数が本装置の1万倍にもなり,粒子同士の衝突や粒子群が流れを誘起し,乱流の粒子運動への影響を正確に調べることができない.本粒子落下装置では,粒子が十分に離れていて,お互いに干渉がないことを高速度ビデオ撮影によって確認した.高速度ビデオによる粒子速度測定技術を確立するために,まず静止流体中での終端速度を測定し,粒径分布から推算できる終端速度と一致していることを確認した.その後,乱流中での粒子の平均落下速度を乱流変動速度を変化させながら,乱流の影響を調べた.これまでの数値計算の報告では乱流の時間スケールと粒子の応答時間がほぼ同じになる場合に,粒子の平均落下速度が増大することが報告されているが,本研究ではそのような条件を含むすべての条件で粒子の平均落下速度が減少することがわかった.本研究の実験結果から,粒子の運動の乱流からの影響について,乱流の時間スケールと粒子緩和時間の比からのみで,乱流中の粒子運動を予測またはモデル化することが問題であることを示した.
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