Research Abstract |
マイクロチャネルを通る混合気体流れの特性を正確に理解するためは,気体と固体壁面との適応係数を各気体に対して求める必要がある.本研究では,まず,二平板間のクェット流れ問題を取り上げ,混合気体に対して,各気体の適応係数を決定した.具体的には,固体表面として白金,気体分子としてヘリウム-キセノン,ヘリウム-アルゴン,アルゴン-キセノンの3種類を考え,二平板間の気体に対して,気体分子の動きに対しては直接モンテカルロ法を,また,気体・固体分子の干渉には分子動力学法,および簡単な拡散反射モデルを用いて解析を行った.分子動力学法における表面形状としては,異分子(キセノン)が物理吸着している場合を取り上げ,壁面温度に関しては300,600Kの2種類を考えた.解析により,次のような結果を得た. 壁面を拡散反射として考えた場合,すべり係数の値は,気体が混合されることによって増加し,重い気体の影響を受けやすいことが明らかになった.壁面を分子動力学法で解析した場合,単体のすべり係数は気体によって異なっているため,拡散反射の場合に比べて,全体的に増加した.また,この違いは温度が高くなるにつれて大きくなった. これらの結果をもとに,次にマイクロチャネルを通る混合気体流れの解析を行った.気体の流れは直接モンテカルロ法を用い,壁面の境界条件を,拡散反射条件,及び,前述のクェット流れ解析から得られた適応係数をもとにしたマックスウェル型の反射境界条件を適用した.その結果,例えば,アルゴン-キセノンの混合気体の場合,アルゴンの割合が増加するにつれて,また,壁面の温度が上昇するにつれて,チャネル内を流れる流量に対して拡散反射とマックスウェル型反射との違いが顕著に現れた.
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