Research Abstract |
本年度は,昨年度提案した新しいモデルについて,壁面に付着分子がある場合の解析を行い,新モデルが適用できるか検討を行った.まず,接線方向運動量適応係数について,入射分子の速度との関係を調べた.その結果,適応係数は入射分子の速度に依存し,その値が大きくなると,適応係数は小さくなることが分かった.同様に,回転エネルギー適応係数について,入射分子の回転エネルギーとの関係を調べたところ,速度の場合と同じく,適応係数は入射分子の回転エネルギーに依存し,その値が大きくなると,適応係数は小さくなることが分かった.そこで次に,一定速度あるいは回転エネルギーを持った入射分子が付着分子のある壁面を反射した際,その分子のもつ速度あるいはエネルギー分布が,どのような形になるのかを調べた.その結果,反射後の分布は,清浄な壁面の場合と同様に,拡散反射分布と,入射分子の速度あるいはエネルギーをある程度保持した分布の二重分布形を示すことが明らかとなった.一方,既存のモデルであるCLL反射と,今回の解析結果との比較を行ったところ,CLL反射モデルによる反射分布は解析結果より得られた二重分布形を表現し得ないことが示された.以上の結果を踏まえ,解析結果より得られた二重分布形を表現し,入射分子の速度あるいは回転エネルギーに依存する適応係数を含む簡単な反射モデルの構築を行った.このモデルは,分子動力学法による気体-固体干渉解析結果の反射分布をかなりうまく表現することが分かった.
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