Research Abstract |
1.前年度構築した界面活性剤の吸着・脱着を考慮した動的表面張力理論を用いて,気泡の安定性を解析した.その結果,気泡の収縮時間に比べて,界面活性剤の吸着速度は十分速いことが示された.また,レーザトラップしたマイクロバブルの実験結果と本理論との比較を行った結果,レーザトラップされたマイクロバブルの場合,レーザトラップ開始時から,マイクロバブルの界面の界面活性剤濃度は最大平衡表面濃度に達していること,気泡収縮の際の時間履歴は,気泡表面積の減少に伴う表面張力の低下に支配されていることが示された. 2.LevovistとImavistの2種類のマイクロバブルを用いて,圧力変動下におけるカバーガラス表面に付着したマイクロバブルの挙動を観測した.その結果,両者とも気泡径が十分小さい場合は,加圧により気泡が収縮する際に界面に凹凸が生じ,減圧しても気泡半径は初期半径まで回復しないことが示された.また,Imavistの場合,内部ガスの気泡外部への拡散が抑制され,また,気泡周囲の空気が気泡内部に拡散により流入することにより,気泡の膨張が促進されることが示された. 3.界面活性剤の多重層による拡散抵抗を考慮したマイクロバブルの力学モデルを用いて,圧力変動下におけるカバーガラス表面に付着したマイクロバブルの挙動をシミュレートした.その結果,気泡収縮時にその表面に凹凸が生じない場合は,本モデルはLevovistの収縮・膨張をシミュレートする上で,有効であることが示された.また,気泡表面に凹凸が生じる場合,収縮時に空気の拡散抵抗が非常に大きくなり,気泡が安定化されていることが示された.
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