2005 Fiscal Year Annual Research Report
温度・速度同時計測に基づく乱流火炎における濃度推定法の開発
Project/Area Number |
17560168
|
Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
二宮 尚 宇都宮大学, 工学研究科, 助教授 (70212123)
|
Keywords | 濃度計測 / ITAC法 / LIF / PIV / 乱流火災 |
Research Abstract |
乱流燃焼を制御し、より効率の高い燃焼を実現するためには、燃焼状態の把握が重要であり、その計測方法及び予測方法の開発は非常に重要な課題となっている。本研究の海外共同研究者である米国Michigan大学のDahm教授の開発したITAC法(Iterative Temperature with Assumed Chemistry)は、一種もしく数種の反応物の濃度から火炎内の全ての反応物の濃度及び温度を推定するという手法であり、燃焼状態の詳細を予測する有力な手法である。近年、LIF(レーザー励起蛍光法)を利用した計測手法の発達により、いくつかの物質の二次元濃度分布の非接触計測が可能となっており、これとITAC法を組み合わせることで燃焼状態をほぼ完全に予測することが可能になると考えられる。しかし、実際に計測・予測手法として確立するためには、その計測原理に内包される様々な誤差要因を定量的に評価する必要がる。本研究では、新しい「速度・温度・濃度同時計測手法」を実現するための基礎研究として、ITAC法に用いられている様々な仮定が最終的な各物質の濃度分布の予測精度に与える影響を明らかにすることを目的とする。本年度はその第一段階として、ITAC法による濃度分布推定に利用される反応物濃度分布に関するデータベースにおいて、各反応物の拡散係数の違いがデータベースに与える影響と、そのデータベースを用いた各反応物濃度分布の推定結果に与える影響の詳細を明らかにした。まず、メタンを燃料とし、空気中で燃焼させた場合の燃焼反応を複数の直接数値解析手法により予測し、各化学種の濃度分布に関するデータベースを作成した。そのデータベースを用い、拡散係数の値や有無が各化学種の濃度分布の予測に与える影響を定量的に評価し、燃焼反応の予測における拡散係数の及ぼす影響を明らかにした。その結果、拡散係数の影響は分子量の小さい原子や分子の濃度分布予測に与える影響は大きいものの、その他の比較的分子量の大きい物質の予測にはあまり大きく影響しないことを明らかにした。
|