2005 Fiscal Year Annual Research Report
液滴落下法による冷却伝熱面を用いない高濃度凍結濃縮の基礎研究
Project/Area Number |
17560179
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
平田 哲夫 信州大学, 工学部, 教授 (40126701)
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Keywords | 凍結 / 濃縮 / 氷筍 / 液滴 / 高濃度 / 水溶液 |
Research Abstract |
本研究は,特定の冷却伝熱面を用いないで氷柱を生成する方法に着目し,それを凍結濃縮に応用することにより低濃度溶液を一度の凍結操作で高濃度溶液に濃縮する方法を提案するものである.(a)水滴を用いた基礎実験をもとに(b)氷柱生成の解析を行いさらに(c)水溶液を用いた濃縮の予備実験より,以下の知見を得た. (a)水滴を用いた基礎実験 ・水滴を冷却室内に落下させて氷柱生成実験を行い,低温室の温度条件,水滴流量,水滴落下高さなどによる氷柱の特性(形状,直径の大きさ,透明度)などを調べた結果,氷柱形状は低温室温度と水滴流量により円柱形,螺旋形,円錐形,陥没形の4つのパターンに分類できることを示し,そのマップを示した. ・水滴落下高さが高い方が直径の大きな氷柱が生成されることを示した. (b)水滴落下による氷柱生成の解析 ・水滴は間欠的に落下するため間欠性を表す因子として間欠ファクターを導入して解析した結果,氷柱の成長速度は冷却室温度,蒸発潜熱,冷却室の熱伝達率及び水滴流量により決まることを示し,短時間により多くの凍結量を得るための指針を得た. ・凍結率(落下水滴量に対する凍結量の割合)を大きくするためには,水滴流量と間欠ファクターを大きくすればよいことを明らかにした. ・氷柱形状が円柱形と螺旋形とに分れる限界条件を解析し理論的に示した. (c)水溶液を用いた濃縮の予備実験 ・液滴として5wt%,10wt%エチレングリコール水溶液を用いて実験を行った結果,濃縮液の濃度は冷却室温度と等しい凝固温度を有する濃度まで一度の凍結操作で濃縮できることが分った. ・過冷却を防ぐために液滴受け皿に種氷を設置して製氷した結果,冷却室温度が比較的高い場合に過冷却解消効果があることを示した.
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