2006 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ多孔質体内熱流動場の巨視的モデル構築に向けての数値的理論的及び実験的研究
Project/Area Number |
17560181
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
桑原 不二朗 静岡大学, 工学部, 助教授 (70215119)
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Keywords | 多孔質 / 数値解析 / せん断力 / ストークス数 / 透過率 |
Research Abstract |
現在、液晶などにおいて生産工程のクリーン化の要求が高まっている。また、MEMSを用いた、少サンプルによる分析などマイクロ流路の応用が広がっている。これらにおいては、その接触面積を稼ぐため微細な構造を有するマイクロ多孔質が用いられる。これらに対しての流動場を正しく予測する巨視的モデルに対する提案は少ない。これまで、連続体近似が適用可能な希薄場に対する、差分法による直接計算がなされているが、より微細嫡造に対し適用が可能な数値手法の導入が必要である。また、このような分析やろ過などの用途の場合、構造体周りには、流れに存在する成分が吸着することで、その寸法が増大する。このような非定常的に場が変化する数値シミュレーションに対応すべく、格子ボルツマン法を用いた計算コードを構築した。 研究の第1段階として、粗密なフィルターにおける集塵機構をシミュレートすることを目指した。線維列を角柱群でモデル化した。このような多孔質体は非常に小さな構造を持ち、極めて低レイノルズ数となる。一方、格子ボルツマン法は、その手法のため高レイノルズ数場への適用は困難とされ、本計算対象は極めて好条件となる。繊維構造体表面への粉塵吸着機構については、"拡散機構"、"さえぎり機構"および"慣性機構"などが提案されている。これら機構を表現するためには、粉塵粒子のサイズや密度など多くのパラメータの導入が必要となる。しかし、格子ボルツマン法に、これらを導入する場合、計算過程が複雑化する。 本研究においては、これらパラメータについて詳細に分析し、構造体表面に到達した粉塵粒子が流れのせん断力の大きさにより吸着することなく、再び流れに戻されることに大きく関連することに注目している。せん断力の大きさにより、吸着確率を示す係数を導入し、新たにモデル定数を提案した。 本研究で提案された新しいモデル定数は、本手法における仮想粒子が、粒径無限小、密度が流体と同じであるという極めて単純に仮定されているのにもかかわらず、"拡散機構"、"さえぎり機構"および"慣性機構"などが、表現可能であり、実現象を正確にシミュレートできることが確認された。 新しいモデル定数は、ストークス数に関係し、これを正しく設定することにより、様々なフィルターの使用条件に関し、その透過率の時間変化をシミユレートでき、フィルター寿命を正確に予測することが、実際のフィルターを用いた加速実験結果より判明した。
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