2005 Fiscal Year Annual Research Report
PEMFCの高電流密度化 〜拡散層内の水詰り観察と気液二相流数値解析による取組〜
Project/Area Number |
17560188
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 衡平 九州大学, 工学研究院, 助教授 (10283491)
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Keywords | PEMFC / 水詰り / 気液二相流 |
Research Abstract |
固体高分子形燃料電池における主要な性能低下因子の一つである水詰り現象は、実験、数値計算の両面から解明が進められている。水詰りは、電池反応の結果生成される水とその排出速度、及び周囲の蒸気圧の関係で決まり、カソードのガス拡散層や流路でしばしば見られる。これまでに、ガスの加湿量や、平均電流密度などをパラメータに、可視化セルを使って水詰りが観察されてきた。しかしその観察の多くが、セル電圧を維持できない高い水詰り領域であり、加湿温度などの運転条件と、飽和率、セル電圧との関係がよく理解されていない。そこで本研究では、運転条件を注意深く検討し、水詰りが見られ、かつセル電圧が安定する範囲を見出し、その範囲で発電運転し、水詰りの程度がセル電圧に及ぼす影響を考察したので、報告する。 水詰りを見るために、電極面積10cm2、三並列サーペンタイン型流路をもつ可視化セルを製作した。このセルにおいて、セル電圧一定となる条件(セル温度60℃、アノード加湿温度60℃、カソード加湿温度30〜50℃、平均負荷電流密度0.25〜0.45A/cm2)をした。この範囲で実験条件を変えながら、カソード流路内、及びガス拡散層表面の水詰りの程度を観察した。水詰りの程度は、単位堆積当りにしめる水滴の割合、すなわち飽和率として整理した。また、カソード流路出入口に差圧計を設置した。 以上の実験手法で次の知見を得た。(1)実施した実験領域では、飽和率0.4の中程度の水詰りが見られた。(2)飽和率が上がると、セル電圧は下がる。しかしながら、飽和率の増加の程度、セル電圧の低下の程度の間には、強い対応関係がないと考察された。(3)差圧とセル電圧の両者の間には、対応関係が見られなかった。(4)加えて差圧は、飽和率とも直接的な関係が見られなかった。(5)上記(3)、(4)は、並列流路を有するセルの、特有の特徴と考えられる。
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Research Products
(2 results)