Research Abstract |
本研究では,液体と液体,または液体と粉体の攪拌・混合・融解プロセスの高効率化をはかるため,攪拌漕内で往復運動する撹拌フィンの運動に非線形振動系の共振現象を利用した新たなる振動型混合装置の開発を目指す。 本研究では,磁気反発力より浮上する攪拌フィンを使用し,攪拌フィンの加振力として周期変動する磁力を用いた非接触加振方式を採用した。このことにより,撹拌フィン駆動用シャフトのような機械部材は不要となり,外部環境から撹拌槽内を完全に遮断することができる。このため,攪拌槽からの混合液の漏出や混合液への外部からの不純物の混入を防止できるという利点がある。 平成18年度の研究成果を踏まえて,本年度の研究では,新たなる振動式混合装置を製作した。本年度の研究では,昨年度の試作機に対し攪拌フィンの小型軽量化を行うとともに,フィンの往復運動の拘束方式などを変更し,攪拌フィンが高速かつ滑らかに往復運動できるように改良した。また,磁石間ギャップを容易に変更できる構造とし,系の固有振動数を調整可能とした。その結果,攪拌フィンの非線形共振を高振動域で発生させることが可能となった。新装置の解析モデルを構築し,数値シミュレーションを行うとともに,試作機による攪拌フィンの振動実験を実施した。さらに,攪拌槽に実際に液体を流入させ,攪拌フィンの運動による液体の運動の可視化実験を行い,攪拌槽内の液体の運動について検討を行った。数値解析及び実験の結果から,本装置は大振幅かつ高速の攪拌フィンの往復運動を実現でき,高性能混合装置として十分に実用化できるとの見通しを得ることができた。ただし,攪拌装置の外枠及び架台部に過大な振動が発生したため,高振動域での運転に障害が発生した。そのため,本研究においては,架台部の振動低減法を新たに開発し,その振動低減効果を確認した。
|