2007 Fiscal Year Annual Research Report
簡易位置センサ・位置センサレス駆動制御用磁気支持形リニア同期モータの状態推定方法
Project/Area Number |
17560249
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古関 隆章 The University of Tokyo, 大学院・情報理工学系研究科, 准教授 (20211899)
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Keywords | オブザーバ / 位置検知 / マルチレートサンプリング / 状態推定 / リニアモータ / リニア同期モータ / 駆動制御 / 制御工学 |
Research Abstract |
最終年度は、当初検討の中心に据えた磁気支持ではなく、より厳密に位置制御の性能評価をするためリニアベアリング支持のリニア同期モータを供試機とし、汎用ビデオカメラからの信号に基づく位置の検出と、状態量の推定およびそれらを用いた状態フィードバック実験を3年間の研究の集大成として行った。汎用ビデオカメラはサンプリングレートが低く、画像処理によるむだ時間が位置信号に挿入されることで位相余裕を食いつぶす。サンプリングレート不足の問題に対し有効なデュアルサンプリングレートオブザーバを用いて、1秒間にわずか30コマという画像情報の時間的粗さに起因する位置情報の欠落を、モータの電流電圧情報と、制御対象のモデルに関する知識に基づき推定し補うことにした。そして、このオブザーバを、画像処理に伴うむだ時間に対応すべく、無駄時間相当のサンプル周期ごとの状態量を推定器内部のバッファに格納し利用する、あるいは推定対象の漸近安定性を仮定できる場合は、状態フィードバック制御系に直接出力するためのモデル情報による状態量計算値と、無駄時間のために遅れて、推定値出力後に初めて取得可能な位置情報を用い、状態量計算値を補正し持続的推定を可能とするためのオブザーバ内部で用いる推定値と、2種類の状態推定量を明示的に区別する状態推定の理論と設計法を導出し、拡張した。本理論的成果は全く新しいものため、今後対外発表に努めその有用性を訴えたい。汎用カメラを用いたリニア同期モータ位置制御実験を通じ、提案する無駄時間補償機能を持つオブザーバが正しく機能することを検証した。ただし、実装上の問題から、理論で予期しなかった3つめのサンプル周期が実験系に存在し悪影響を及ぼしていることがわかった。この点を解消するため、本成果の自然な延長上に、トリプルサンプルレートの状態推定を定式化することを今後の課題として進める必要がある。
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