Research Abstract |
近年,需要家における分散型電源の設置が進展し,将来には,分散型電源の導入容量および導入台数ともに電力システム内で支配的な立場を占めるような状況,すなわち分散型電力システムに進展する可能性がある.本研究では,電源,蓄電機器および消費機器の状況を鑑み,直流の形態による分散型電力システムを提案している. 直流給配電システムの基礎的評価として,太陽光発電装置および風力発電装置を電源として,研究室内に実験用の小規模なモデル直流および交流給配電システムを構築し,電力効率を測定した.直流給配電システムの電力効率が交流給配電システムよりも,約20%程度高くなることがわかった. 直流給配電システムを構築する上で,重要な要素の一つに給配電電圧が挙げられる.給配電電圧は,様々な現象を考慮した上で決定することを目指している.その現象の一つとして,今回は定電力負荷への供給時において,給配電電圧が微少変動した場合における負荷端電圧の振動現象に着目した.これにあたり,定電力負荷の数値計算用モデルを構築した.このモデルを用いて過渡特性を数値シミュレーションすることによって,負荷端電圧の非安定性,すなわち,振動成分が発散してしまうことを明らかにできた.また,小規模な実験用直流給配電システムでも,実験によって負荷端電圧の安定性を確認できた. 次いで,負荷端電圧の安定性を,負荷消費電力、伝送線路の抵抗およびインダクタンスおよびフィルターなどの静電容量に基づいて,回路論的に検討した.その結果,負荷端電圧の安定性を,回路常数から明確に説明することができた.さらに,この結果から,負荷端電圧の振動成分が減衰し,すなわち,安定を実現する給配電電圧の領域を明らかにすることができた.
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