Research Abstract |
近年,需要家における分散型電源の設置が進展し,将来には,分散型電源の導入容量および導入台数ともに電力システム内で支配的な立場を占めるような状況,すなわち分散型電力システムに進展する可能性がある.本研究では,電源,蓄電機器および消費機器の状況を鑑み,直流の形態による分散型電力システムを提案している. 前年度において,直流給配電システムに定電力負荷が接続された場合における負荷端の電圧振動現象を報告した.平成18年度においては,この現象を発展させ,直流給配電システムに定電力負荷が接続された場合について,その負荷の受電可能電力は制限されてしまうことを見いだした.そこで,その受電可能電力を給電圧,伝送線路の抵抗,インダクタンス,静電容量の関数で表すことに成功した.その結果,たとえば,電圧降下率の向上をねらって,伝送線路の抵抗を小さく設定すると,受電可能電力はむしろ低下してしまうことを指摘できた.さらには,受電可能電力を,定電力負荷のみならず,他の電圧特性指数の負荷にまで拡張した. 負荷端電圧に対する消費電力の依存性に関しては,定電力負荷のみならず,各負荷によって様々であり,その依存性は電圧特性指数で表現されている.直流給電システムのみならず,交流給電システムでは,電圧特性指数の異なる複数の負荷が並列に接続されることになり,負荷全体としての電圧特性指数は明らかでない.そこで,負荷全体の電圧特性指数を,負荷単体での同特性でどのような数式で表現できるか試み,その数式を導出することに成功した.
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