2006 Fiscal Year Annual Research Report
競争環境下電力市場における価格決定要因に関する研究
Project/Area Number |
17560260
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
宮内 肇 熊本大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (20181977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜多 敏博 熊本大学, 総合情報基盤センター, 助教授 (20284739)
三澤 哲也 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (10190620)
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Keywords | 電力自由化 / 電力市場 / 市場価格 / 回帰分析 / 時系列データ / Chow検定 / コールド温度 / カオス |
Research Abstract |
本研究では、電気事業が自由化された諸地域に開設されている電力前日市場で実際に取引された電力価格データに対し、前日の電力価格や電力需要などを説明変数とする回帰式による分析やその他の解析手法を用いて、その解析結果を基に、電力市場の価格決定要因や各市場における相違などに関する検討を行っている。 本年度は特に、電力需要は季節的変動が大きいことから,季節毎に区分された回帰式の構成を試みた。そのために、1年を夏・冬のピーク期と春・秋のオフピーク期に分け、1年間を4期間にどの時点で分けることができるかについて、Chow検定などを用いて検証した。その結果、解析対象とした米国東部のNew England市場、PJM市場、豪州NEMMCO市場について、どの市場も毎年ほぼ同じ時点で市場価格に構造変化が生じていることを確認した。また、米国東部の冬ピーク期に関しては、前日の電力価格と電力需要だけを説明変数とする回帰式では当てはまりが悪いことから、新たに「コールド温度」という気温に関する説明変数を導入することで、決定係数の改善が可能であることを示した。 さらに、2005年夏頃から世界的な原油価格の高騰という外的要因が発生しているため、燃料価格である原油価格の影響を考察し、電力前日市場の電力価格を被説明変数、電力需要・1日前の電力価格・WTI先物価格(原油価格)を説明変数とする回帰式を構成し、検討を行っている。また、時系列データである日本卸電力取引所JEPXの電力市場価格を対象にカオス性に関する検証を行い、埋め込み次元、構造性、フラクタル次元、リアプノフ指数を算定したところ、カオス性の存在は確認できないもののその存在を否定することはできない結果が得られている。今後、埋め込み条件の導出法やカオス特徴量解析法の見直し、また、各種の回帰分析結果とも照らし合わせ、電力市場価格の決定構造をさらに明らかにしたい。
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Research Products
(2 results)