2005 Fiscal Year Annual Research Report
PEFC用エラステック複合体の超低抵抗化機構の解明と耐久性の基礎的研究
Project/Area Number |
17560281
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
中村 修平 三重大学, 工学部, 教授 (70109297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 裕介 三重大学, 工学部, 助手 (70378313)
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Keywords | 複合体 / ホール効果 / PEFC / 燃料電池 / セパレータ / 抵抗 / 機械的特性 |
Research Abstract |
樹脂とカーボンブラックから成る複合体は、固体高分子燃料電池(PEFC)用セパレータの部材となる候補の一つである。セパレータ用部材としては、発電電流が流れる方向の抵抗率を含む電気的性質とともに硬さ・折れ曲りにくさなどの機械的性質とそれらの温度依存性が重要である。本年度は、カーボンブラックの形状因子がこれらの性質に与える影響を明らかにする。 (1)カーボンブラックの形状として、球状黒鉛と鱗片状黒鉛を選択した。樹脂は成形性並びにコストの観点から、熱可塑性樹脂を選択し、圧縮成型により試料を作成した。 (2)鱗片状黒鉛から成る複合体の面内抵抗率(10mΩ・cm、圧縮圧力と垂直方向:発電電流方向と垂直方向)は、球状黒鉛から成るそれに比べて、数倍低い。しかしながら、前者の貫通方向抵抗率(150mΩ・cm、圧縮圧力と同じ方向:発電電流方向と同じ方向)は、後者のそれより3倍程度である。従って、セパレータ部材用黒鉛としてはアスペクト比の小さい球状黒鉛が好ましいと結論された。 (3)このような超低抵抗化機構をホール効果より調べた。その結果、カーボンブラックの充填に伴うキャリア密度の増加に比べてキャリア移動度が大きく変化することが低抵抗化に寄与していることが判明した。 (4)機械的性質においては、鱗片状黒鉛から成る複合体の曲げ強度(20MPa:充填体積割合0.7)は、球状黒鉛から成るそれに比べて、2倍大きい。曲げ歪は、いずれも2%を越えるものの、球状黒鉛からなる複合体が優れている。 (5)抵抗率の温度依存性において、球状黒鉛から成る複合体は、充填量が大きくなる(500phr)と機械的性質が低下することから、温度に対して不可逆的に抵抗率が増加した。逆に機械的強度に優れる鱗片状黒鉛から成る複合体では、抵抗率は温度に対して可逆的特性を示した。これは曲げ強度の違いから説明される。
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Research Products
(4 results)