2006 Fiscal Year Annual Research Report
PEFC用エラステック複合体の超低抵抗化機構の解明と耐久性の基礎的研究
Project/Area Number |
17560281
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
中村 修平 三重大学, 大学院工学研究科, 教授 (70109297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 裕介 三重大学, 大学院工学研究科, 助手 (70378313)
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Keywords | 複合体 / PEFC / 燃料電池 / セパレータ / 抵抗 / 機械的特性 |
Research Abstract |
樹脂と導電性粒子(カーボンブラック)から成る複合体は固体高分子形燃料電池(PEFC)用セパレータの部材候補である。本年度は耐熱性・耐久性に主眼をおいている。得られた結果を以下に列記する。 (1)ポリプロピレン(PP)とポリフェニレンサルファイド(PPS)に球状黒鉛をした複合体を作成した。NEDO目標値である抵抗率10mΩ・cm以下に至らなかったが、数十mΩ2・cmまでは達成できた。一方、曲げ強度、曲げひずみに関しては、NEDO目標値である曲げ強度50MPa以上かつ曲げひずみ1%以上に対し、PPでは達成不可能、PPSでは達成可能となった。 (2)PEFC動作温度での機械的特性を測定した。PPから成る複合体では全く強度が保てず、PPSでは常温時の80%以上の強度を保つことができた。 (3)耐久試験において、PPSから成る複合体では、表面が粗くなり表面張力が親水性へと変化したが、電気・機械的特性においては大きな特性変化は確認されなかった。 (4)PEFCの軌道・停止による応力サイクル試験を想定し、90℃にて圧縮・開放試験を1000回おこなったが、試料厚に変化はなく、抵抗率は低くなり、弾性率が増加した。 (5)有機成分としてポリジメチルシロキサン(PDMS)、無機成分としてテトラエトシキシラン(TEOS)から成る200℃を越える耐熱性を有する有機-無機ハイブリッドのゾル液状態でカーボンブラックを導入し、複合体を作成した。ベスト抵抗率は400mΩ・cmと極めて悪く、脆弱な複合体となった。PDMSの分子量制御という基礎からの検討が必要である。 (6)PP、PPSに比べ耐熱性が劣るが、抵抗率が低い熱可塑性樹脂(TPE)と球状黒鉛(SG)を用い、異なる2種類の成形方法で樹脂・黒鉛複合体セパレータを試作し、単セルスタックを作製して、電流電圧特性試験、交流インピーダンス試験、定電流モード試験からPEFC及びセパレータ性能の評価を行った。セパレータの電気的・機械的特性及び撥水性は成形方法により差異が生じた。試作セパレータ搭載の単セルスタックは定置用PEFCとして十分使用可能なセル電圧を有していることが示された。セル電圧の安定性はセパレータの撥水性を抑えることで改善された。
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Research Products
(2 results)