2005 Fiscal Year Annual Research Report
高効率熱電変換素子材料としてのナノ変調構造をもつTlInSe_2
Project/Area Number |
17560290
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
脇田 和樹 大阪府立大学, 工学研究科, 助教授 (80201151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芦田 淳 大阪府立大学, 工学研究科, 講師 (60231908)
沈 用球 大阪府立大学, 工学研究科, 助手 (20336803)
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Keywords | TlInSe_2 / インコメンシュレート相 / ゼーベック係数 / 熱電変換 / フォトルミネセンス / 電流電圧特性 / 負性抵抗 / 強誘電性 |
Research Abstract |
TlInSe_2結晶の電流電圧特性を測定し、微小電流領域において1つの試料ではオーミックな特性を示したが、他方の試料では大きなヒステリシスを観測し、後者の試料では強誘電性を示すことがわかった。また、大電流領域ではどちらの試料も測定ごとに電流-電圧特性が変化し、電流に対する電圧が減少するメモリー効果を観測した。試料を150℃まで加熱することによりメモリー効果が消失することから、この現象は他のTl系化合物で観測されるインコメンシュレート相におけるメモリー効果であると推論した。また、150℃までの加熱によるこの効果の消失は、その温度領域でインコメンシュレート相からノーマル相への構造相転移によると考察した。さらに、大電流領域ではいずれの試料もS型の負性抵抗が観測されたが、その特性は大きく異なっており、この特性の差異は試料ごとの強誘電性などによると結論した。 次に、TlInSe_2結晶のフォトルミネセンス(PL)スペクトルを初めて観測し、TlInSe_2化合物が従来報告されている間接遷移型ではなく直接遷移型であることを示した。PLスペクトルは0.97eVと1.05eVの位置にピークをもつ二つのガウス関数に分離でき、いずれの発光もPLスペクトルの励起強度依存性からfree-to-bound遷移によるものと推測した。またスペクトルの温度依存性から活性化エネルギーを求め発光に関与するバンド内準位を評価した。さらにPL励起スペクトルよりバンド端付近にexciton-likeな鋭いピークを観測し、このピークについて考察すると共に、TlInSe_2のバンドギャップについて議論した。
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Research Products
(6 results)