2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17560293
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
犬島 喬 東海大学, 電子情報学部, 教授 (20266381)
|
Keywords | InNの超伝導 / フェルミ面 / 電子局在 / モット転移濃度 |
Research Abstract |
InNの抵抗の温度依存性を電子密度の関数として測定した。InNの電子密度(n_e)をシリコンをドーピングすることにより1.8×10^<18>cm^<-3>から1.5×10^<19>cm^<-3>まで変化させた。30K以上の温度ではその抵抗変化は金属的だが、それ以下の温度では結晶のab面内での電子局在による抵抗の異常が観測された。これらの試料のシュブニコフ・ドハース振動解析により、InNは等方的なフェルミ面を持ち、n_e<5×10^<18>cm^<-3>の範囲では電子密度の増加と共にフェルミ球も増大する。磁場がab面に垂直に印加された場合には上記の半導体としてのフェルミ面の他に、4.5×10^<12>cm^<-2>の電子濃度をもつab面に局在した電子分布が観測される。この電子分布は表面や界面に蓄積された電子によるものではなく、InN内の電子構造であり、しかもab面内の方向に依存する低次元構造に原因がある。この特異な電子全布を考慮してInNのモット転移電子濃度を臨界状態のスケーリング則を用いて2×10^<17>cm^<-3>と決定した。更にシュブニコフ・ドハース振動の特異性を考慮して、InNの基礎吸収端におけるバンド構造を提案した。今までの研究の結論として、InNは直接型半導体であり、InNの伝導帯はほぼ等方的なフェルミ球をなしているとして間違いは無さそうである。しかし、この他に印加磁場がa-b面に垂直の場合に現れるab面に広がった金属的なフェルミ面が本質的なものか否かが問題である。この電子構造はab面内の電子局在と関係し、[10-10]方向と[11-20]方向で全く異なる構造をもつ。このことはInNの結晶構造、特にab面内のIn原子の配列に異常が存在することを意味する。今後はこの特徴をより明確にする実験をおこなう。
|
Research Products
(2 results)