2006 Fiscal Year Annual Research Report
強誘電体ドメイン制御を利用した新規圧電デバイスおよび材料の創出
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17560294
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Research Institution | Shizuoka Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
小川 敏夫 静岡理工科大学, 理工学部, 教授 (40247573)
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Keywords | 巨大横効果圧電性 / 巨大電気機械結合係数k_<31> / 巨大圧電d_<31>定数 / PZNT91 / 09単結晶板 / PMNT74 / 26単結晶板 / P-Eヒステリシス曲線 / 変位特性 / 非鉛系圧電材料 |
Research Abstract |
(1)強誘電体ドメイン制御リラクサ圧電単結晶の新規物性創出の一貫として、新リラクサ圧電単結晶での巨大横効果圧電性について検討した。(100)面および(110)面Pb(Mg_<1/3>Nb_<2/3>)O_3-PbTiO_3(PMNT68/32、PMNT74/26)単結晶板(13^Lx4.0^wx0.34^T/0.47^Tmm)での強誘電特性のDC分極およびパルス分極電界依存を調べた。40℃での比誘電率(ε_r)およびk_<31>のDC分極電界依存では、(100)面PMNTのε_rは300V/mmピークをもち、その後減少傾向を示す。又、時間経過と共に若干の減少(エージング)が見られた。一方、(110)面のε_rはE=200V/mm急に立ち上がり、その後、一定値をとる。k_<31>は(100)面で66%、(110)面で86%以上の巨大k_<31>が得られた。これらの傾向はパルス分極電界依存でも確認された。P-Eヒステリシス曲線は、(110)面でパルス電界強度E≧800V/mmで非対称になり、同時に巨大k_<31>が得られたが、(100)面では対称であった。以上の結果より、巨大k_<31>の実現には結晶面と分極方向との関係が重要であることが明らかとなった。 (2)ユニポーラ三角波パルス電界E(周期:50msec)印加による長さ(L)方向の歪量をフォトニックセンサ(MTI Instruments Inc.製/MTI-2000)で測定し、圧電d_<31>定数を求めた。巨大k_<31>をもつ(110)面PMNT74/26(d_<31>=-1240pC/N)、(100)面PZNT91/09(d_<31>=-1890pC/N)単結晶板およびPZTセラミツク板(d_<31>=-330pC/N)での歪(ΔL/L)とEとの関係から、PMNT/PZNT単結晶共E=209-1400V/mmでその歪はEに対して直線的であったが、1400-1750V/mm急激な上昇が見られ、E>1750V/mm再び一定となった。両単結晶のE≦1400V/mmの圧電d_<31>定数は、インピーダンス応答より求めた値より1.4倍大きかった。 (3)ドメイン制御非鉛系圧電材料の探索として、これまで報告されている研究発表・論文等を調査した。その結果、材料組成としては、(1)ビスマス層状化合物系、(2)チタン酸バリウム系、(3)ニオブ酸カリウム・ナトリウム系に大別されたが、いずれもその圧電特性、特に電気機械結合係数が従来のチタン酸ジルコン酸鉛系に比べ小さい。非鉛系ではドメイン制御も含め大きなブレイクスルーが今後必要である。
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