2006 Fiscal Year Annual Research Report
炭化ケイ素半導体単結晶と酸化膜界面の原子構造解析に関する研究
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17560298
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
宮下 敦巳 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (00354944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 正人 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 研究主幹 (40354948)
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Keywords | 炭化ケイ素 / 第一原理計算 / 分子動力学 / 界面構造 / 欠陥準位 |
Research Abstract |
SiC半導体デバイスは極限環境下で用いられる素子として期待されているが、SiCと酸化膜の界面にはデバイスの特性劣化の原因となる界面欠陥が多く存在しており、欠陥構造と素子特性との関連性を追求することは非常に重要である。本課題ではデバイス酸化膜界面を模擬するため、アモルファスSiO_2/SiC界面を計算機上に構築し原子構造を解析することで、電子状態が界面電気特性に与える影響を追求した。アモルファスSiO_2/SiC界面構造の生成は第一原理分子動力学計算コードであるVASPコードを用いた加熱・急冷計算法による計算機シミュレーションにて行った。693原子界面構造モデルに対して、4000K・3psで加熱融解、3500K・2psで継続加熱、-2000K/psで室温までの急冷を行った。初期状態においては結晶構造を反映した周期的な密度分布を取っているが、融解終了時までに密度分布はランダムになり、室温冷却時においても再結晶化による周期的密度構造は認められない。生成したSiO_2層の動径分布関数を評価した所、全原子によるRDFでは長周期構造を反映した微細構造は認められず、全層が良好なアモルファス状態となっている。部分RDFを評価した所、Si-O結合距離は0.165nmであった。SiとSiの近接距離は約0.23nmに小さなピーク、0.305nmに大きなピークが認められる。0.23nmはSi-Si結合によるものでSiO_2中にSi-Si欠陥構造が存在する事が分かる。0.305nmはSi-O-Si結合でのSi間距離に相当しSi-O-Si結合角は135°である。また、OとOの近接距離は0.268nmにピークを持ちO-Si-O結合角に換算すると109°となった。これらの値はアモルファスSiO_2の条件に適合し、加熱・急冷計算によって良好なアモルファスSiO_2/SiC界面構造が生成されていることが確かめられた。
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