2005 Fiscal Year Annual Research Report
帯電した人体が誘起する静電誘導電圧による電子機器の障害とその対策に関する基礎研究
Project/Area Number |
17560304
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
大熊 康典 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助手 (80287581)
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Keywords | 静電誘導電圧 / 帯電物体の移動 / 金属筐体 / 光電界センサー |
Research Abstract |
本研究は、静電誘導に起因する障害とその対策の基礎研究として、帯電した人体が電子機器の近傍を移動している状態を模擬したモデル実験を行い、帯電物体の移動が誘起する静電誘導現象によって電子機器内部の導体に生じる瞬時的な過電圧や放電と同時に周囲に放射される電磁パルスの特性を明らかにすることを目的としている。そこで研究初年度となる平成17年度では、人体帯電電位の測定と、静電誘導現象を捉えるための電界測定装置の性能評価および測定技術の確立を行った。 人体帯電電位の測定では、日常における様々な動作を対象として人体が帯電する過程を測定し、時間経過に伴う帯電電位の変化を調べた。その結果、人体帯電電位の変化は足の動き、特に靴底と床との距離による影響が大きく、靴底が床から離れるときには正極性、床に接するときは負極性の電位が発生することが分かった。また、歩行による電位の時間変化は、数〜数十Hzの周期で増減を繰り返しながら上昇することも分かった。これにより、モデル実験での実験条件を得ることができた。 一方、静電気に関する計測は機器の接続による外乱を極力抑える必要があることから、非接触での測定が望ましい。そのために本研究では、NECトーキン(株)製の光電界センサーを使った電界強度の測定から静電誘導による過電圧や静電気放電の時間的・空間的特性を調べることを試みる。そこで、過電圧の特性を調べることを目的とした実験を行うために,光電界センサーの低周波領域における周波数特性を調べた。その結果、補正式を算出することで光電界センサーを表面電位計として使用できることが分かった。また、静電気放電の特性を調べることを目的とした実験を行うために、球ギャップ問での放電現象を光電界センサーで調べた。その結果、放電パルス電流の時間変化と一致した信号が得られ、静電気放電の時間的・空間的特性を非接触で測定できることが分かった。
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