2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17560336
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小澤 賢司 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 助教授 (30204192)
|
Keywords | 三次元空間情報 / 音響伝達関数 / バイノーラル録音・再生 / ARMAモデル / 個人性補正 / DSPスターターキット / 単語聴取能力 / ダミーヘッド |
Research Abstract |
ネットワークを介した遠隔地間の協調作業においてコミュニケーションを自然・円滑に行うためには,音の到来方向および距離という三次元空間情報を高い自由度をもって制御可能な伝送・再生の実現が重要である.本研究では,ダミーヘッド(等身大の人形)の両耳において録音された信号をヘッドホンによって再生するのに先立ち,個人性を補正する信号処理を施すことで,原音場における空間情報を再現する手法を確立することを目的とした. 昨年度に響きの乏しい部屋を原音場として取り上げたのに対して,本年度は響きの豊かな部屋を原音場とする場合を取り上げた.この場合には,原音場以外で測定された個人性補正項の周波数特性に対して,原音場における反射音成分に由来するピーク・ディップを付加することを信号処理によって実現する必要がある.そのために,原音場で測定された音源からダミーヘッドまでの伝達関数に含まれる反射音成分を,ARMAモデルを利用して抽出する方法を考案した.これにより抽出した反射音成分を個人性補正項に付加することの妥当性を検証するために聴取実験を実施した.実験結果から,ARMAモデルにおける極/零点の個数を100/100程度に設定することで直接音成分のみを推定でき,その結果として良好な反射音成分の抽出が実現され,十分な補正効果が得られることを示した.以上,昨年度の成果と合わせると,任意の原音場について個人性補正を行う手法が確立できたことになる. この年度では,上記の他に以下2点について研究を行った. (a)遠隔協調作業において音の空間情報を制御することが音声単語の聴取能力に向上をもたらすことは,話者映像によらず有効であることを示した. (b)ヘッドホン順特性の測定から逆特性の算出まで一貫して行うための可搬型システムをDSPスターターキットを用いて構築した.
|