2006 Fiscal Year Annual Research Report
断層運動に伴う地盤の変形とそれによって生じる構造物被害の軽減に関する研究
Project/Area Number |
17560421
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
谷山 尚 埼玉大学, 理工学研究科, 助手 (80236710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 正人 埼玉大学, 理工学研究科, 助教授 (40334156)
牧 剛史 埼玉大学, 理工学研究科, 助教授 (60292645)
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Keywords | 地震断層 / 横ずれ断層 / 断層変位 / 個別要素法 |
Research Abstract |
表層地盤内を断層変位がどのように進展するかを解明するために、砂を用いて模型地盤を作成し、地盤の底部に横ずれ変位を加える実験を行った。平行して、個別要素法を用いて模型実験の数値シミュレーションを行った。実験においても数値解析においても、地盤下部では基盤の断層に沿った変形が主であるのに対し地盤上部では変形範囲が広がること、断層変位が加わると断層と斜めに交わるせん断帯が形成され、さらに断層変位が大きくなると、断層と低角度で交差するせん断帯が形成されることなど、数値解析によって実験と調和的な結果が得られた。また、数値解析において、基盤の断層変位が小さい段階では、基盤断層の近傍に変形が集中する一方で、断層の両側に斜め上方向へとひずみの大きな領域が伸びていく様子が示された。この高ひずみ領域では顕著なすべりは起きていなかった。さらに、数値解析から、断層と斜めに交差するせん断帯の内側(断層寄り)では、せん断帯に沿う方向が最大圧縮方向となり、外側では、最大圧縮方向は高角度で断層と交わっていることが確かめられた。 あわせて、砂地盤の一部に軽量土としても用いられる発泡ビーズを用いて模型地盤を作成して横ずれ断層変位を加える実験を行った。断層を挟んだ比較的広い領域に発泡ビーズを用いると、ビーズ領域全体にわたる連続的な変形が起こり、せん断帯が形成されにくくなった。一方、断層を跨ぐ狭い領域に発泡ビーズを用いた場合は、ビーズ領域に変形が集中し、殆ど変形が生じない領域が周囲の砂地盤内で形成されるなど、表層の地盤の一部を異なる特性を持つ地盤材料に置き換えることによって断層のすべりが形成される位置やすべり量が変化することを示した。 また、2000年鳥取県西部地震の動的破壊過程について調べ、断層中央浅部と断層深部で大きな応力降下が起きており、震源断層上端部でのすべり速度は最大で2m/s程度であったという結果を得た。
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