Research Abstract |
高レベル放射性廃棄物の処分に関しては,長期間,廃棄物中の放射性物質が人間とその生活環境に影響をおよばないことが必要最小限の要求であることから,いくつかの処分方法の中でも,深地層を利用した地層処分が有力視されている.しかしながら,処分坑道周辺岩盤の長期的挙動やそれに伴って変化する水理特性を室内試験やナチュラルアナログ的な研究から推定することは難しいため,複雑かつ長期に亘る岩盤挙動を精度良く表現するためには,いかなる条件においても普遍的な状況を再現しうるメカニズム立脚型の解析モデルが不可欠であると考える.そこで本研究では,岩盤の長期変形,とりわけ不連続面の変形とそれに伴って変化する水理特性に着目し,まず初年度(平成17年度)は,こうした連成挙動を把握するために実験を行い,そのメカニズムの解明を試みた. 実験では,供試体として人工材料を採用したが,強度が高い場合,供試体に何も変化が現れないことが予想されるため,載荷試験機の性能を勘案して適当な配合を定めた.その後,材料特性(変形・強度特性)を把握するために人工的に発生させた不連続面を含む/含まない材料に対して静的試験を実施し,不連続面の有無による変形および透水性能の変化を確認した.変形が進み,局所化する段階で透水係数が大きくなるが,不連続面を有する場合は,変形が局所化する前に不連続面が変形するため,その時点で透水係数が大きくなることが判明した.さらに,同配合かつ不連続面を有する供試体にっいて,クリープ同時透水試験を実施した.これについてはサンプルが少ないため,次年度に引き続いて実施し,知見を得たいと考えている.また,こうした実験を再現するために数値解析を実施した.解析では上述した全ての実験の再現が概ね可能だったが,モデルの改良および不明である境界条件の設定などが課題として残っているため,これについても次年度に引き続いて検討を行う.
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