2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17560432
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
関田 欣治 東海大学, 海洋学部, 教授 (90287045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢後 清和 独立行政法人海上技術安全研究所, 海洋開発研究領域, 助教授 (50399515)
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Keywords | 風力 / 再生可能エネルギー / 海洋利用 / 構造工学 / 動的影響 / 耐震性能 |
Research Abstract |
わが国は頻繁に来襲する台風により沿岸部や諸島上に設けられた風力発電施設が甚大な被災を受け、また風車先進国である北ヨーロッパと異なり地震も多発する。日本でも洋上風力発電施設の展開を積極的に図っていくためには、それらの被害を避けわが国の海底地形等の自然環境条件に相応しい風車を支えるための支持構造の開発は不可欠である。支持構造は、十分な剛性と強度を有し風の力を受けにくく、そして風車・支持構造全体の固有周期が風や波浪、機械振動等の様々な外乱の変動周期との同調を避け、振動軽減や疲労損傷の低減を図ることが重要である。 そこで、本研究では着底・浮体式支持構造のタワーに供する従来の薄肉鋼製円筒タワーに代わる鋼管製トラス構造の開発を目的とし、それら支持構造に支えられる洋上風力発電施設に関する試設計を実施しその可能性を確認し、風洞実験風荷重や発電量を明らかにし、さらに杭・地盤相互作用を考慮した解析により動的特性や耐震性能を検証したものである。その結果、 1)5MW級の洋上風車を搭載した全高が107mと97mである円筒タワー・モノバイルおよびトラスタワー・ジャケットについての4種類の支持構造に対する試設計や構造解析を実施した。その結果、提案した小径・寡少部材で成る鋼管トラスタワーとジャケット海中基礎からなる支持構造は、鋼材重量が1.5倍増えるものの剛性は1.7倍と増加し固有周期が2.5sと短くでき疲労を抑制できるといえる。 2)地盤まで含めた固有値解析から、ブレードがタワーと交差する際に後流域の影響を受けて生じる荷重変動に伴い疲労を発生させる周期(1〜2s)より一次固有周期は短く、またローター回転周期(3〜6s)より長く、両者との同調を避けられる最適な設計が可能であることが判明した。 3)模型実験の結果から、トラスタワーは、面外の振動加速度や変動荷重が円筒タワーより小さく、また風荷重が若千円筒タワーより大きくなることに対応し発電出力は若干大きく空気力学的な面でも優れる。 4)プッシュオーバー解析によりトラスタワー・ジャケット支持構造は、十分な保有耐力を確保し、変形性能(ダクティリティ)も弾性変形に対し崩壊時の変形が4〜5倍にもなることが検証された。 等、耐震性、動的性能、空気力特性や発電出力等が優れる最適な支持構造の可能であるとの結論を得た。 今後は、風や波浪に対する動的解析と疲労解析を詳細に行って疲労耐久性を確認し、さらに施工性やコスト評価を行い、トラス構造の厳密な優位性比較を行う必要がある。
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Research Products
(3 results)