2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17560433
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Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
年縄 巧 明星大学, 理工学部, 教授 (00188749)
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Keywords | 強震観測 / 常時微動 / 地震危険度 |
Research Abstract |
本研究では人口密集地域として山梨県甲府市の市街地を対象としている.第一次段階として,この地域の自由地盤上の常時微動の高密度な測定を行った結果,甲府駅北部の北側の山地を控えた地域では,地盤の固有周期は0.3秒程度以下と短く,駅南部の地域では固有周期が0.3〜0.8秒と長くなることがわかった.この地域の土地利用状況の変遷を見てみると,駅北部の地域は16世紀以前に武田氏が支配していた頃栄え,駅南部の地域は武田氏滅亡後,徳川家の統治後に栄えた地域であり,1854年安政東海地震や1923年関東地震の際には,駅南東部の地域の木造家屋の被害が大きかった.この頃の家屋の固有周期は現在の同層の建物と比較すると長く,0.5秒以上はあったと考えられ,地盤の固有周期と建物の固有周期が同程度であり,共振作用によって建物被害が大きくなったという可能性がある.この地域の現在の建築物の固有周期を構造種類と層数から簡単に推定してみると,0.2〜0.4秒の範囲に入っているものが多い.したがって,次の地震では駅北部側の地域にも被害が発生する可能性がある.この地域の地震危険度の評価をより詳細なものとするために,この地域の自由地盤上において常時微動の高密度な側定をさらに続ける必要があること,建物の振動の実側などによって個々の建物の固有周期の推定精度をさらに上げること,自由地盤上での地震観測を引き続き行う必要があること,この地域の過去の地震被害の特徴を史料を基に整理すること,ボーリングデータなどの地盤資料や地質データを参考にする必要性があることを痛感した.
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