2005 Fiscal Year Annual Research Report
脱施設化に向けての「民家改修型」痴呆性高齢者グループホームの可能性に関する研究
Project/Area Number |
17560555
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
横山 俊祐 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50182712)
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Keywords | グループホーム / 事故 / 認知症 / 民家改修 / ケア / バリア / 脱施設化 |
Research Abstract |
バリアの程度の異なる民家改修型GH(3施設)と新築型GH(2施設)を比較しつつ、バリアと入居者の行動や意識、事故の発生状況、介護の方法等との関係を明らかにした。 1.事故の発生状況(アンケート調査) 平成17年7月〜18年3月までの事故の発生総数は、新築型7件/2施設、改修型11件/3施設に過ぎず、数的な差異は認められない。事故の内容は、両型とも個室内では床やベッドでの転倒、共用空間のフラットな場所での転倒などである。事故の発生数や内容においてバリアに起因するものは皆無であること、逆にバリアフリーの空間でも同様に事故が起こることが明らかになった。 2.バリアが介護方法や入居者の生活へもたらす影響(行動観察・インタビュー調査) 新築型では、効率重視の一括・一律処遇のケアになりがちなのに対して、改修型では空間特性に柔軟に対応した個別のケアが行われることで、入居者の自律的な生活を促進するような人間的ケアが実践されている。 (1)改修型では玄関や居室の段差を昇降する際に、放置・声かけ・手引きなど入居者の身体レベルに合わせた肌理の細かい対応がみられ、入居者個々の残存能力を活かすような介助が見られる。 (2)改修型では、両側の壁を手摺りがわりに伝って廊下を歩くことや、半間の広さのトイレが便器に座る際の転倒を防ぐなど、身体的な空間スケールが、身体の安定を保つことに有効である。また、多様な壁、開口部が、空間認識の手掛りにもなる。それ故に認知度や身体能力の低下した入居者の場合でも、新築型に比してスタッフの支援が少なく、主体的な行動が展開されている。 (3)改修型では、生活音によって入居者の位置や行為を細かく把握することが可能であるために、新築型で見られるような入居者の行動を制限する誘導やスピーチロックを行わずとも、入居者の主体的な生活を支援する見守りが行われている。
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